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第753回 米金利とドルの強気は基本的に変わらず…

2021年04月12日

 4月に入ってから先週8日まで、ドル/円は基本的に調整含みの値動きを続けた。8日の欧米時間後には一時109円付近まで下押す場面もあり、そこで下げ渋ると翌9日には再び110円近くまで大きく値を戻す動きを見せた。
 実のところ、ドル/円の109円付近には重要な節目の存在がある。それは、一つに今年1月安値から3月高値までの上げに対する23.6%押しの水準。そして、もう一つは以前の長期レジスタンスライン(2015年6月高値と2020年2月高値を結ぶ直線)を延長した水準である。これらが、目先的にもドル/円の下値をサポートする格好となった。
 もとより、当面のドル/円の下値は自ずと限られたものになると見る。なにしろ、先週6日には前回更新分の本欄でも注目した89日移動平均線と200日移動平均線の「ゴールデンクロス」が示現している。200日線が上向きでの推移を続けていることから、このゴールデンクロスの強気シグナルとしての“確度”は高い。ちなみに、ゴールデンクロスが示現した結果、主な移動平均線の位置が上から21日、89日、200日の順番に並ぶ「パーフェクトオーダー」のパターンも成立している。
 これだけ複数の強気シグナルが点灯しているのにも拘らずドル/円が111円手前のところで上げ一服となったのは、一つに一目均衡表の月足「雲」下限が110円台後半の水準に控えていたという事情も関わると見られる。結果、3月の終値は月足「雲」下限とほぼ同水準になった。むろん、4月も月足「雲」は当面の上値抵抗として意識されやすい。
 
 ここにきて、米国債利回りの推移がだいぶ落ち着いてきたことも大きい。一頃、あれだけ上昇傾向を強めていた米国債利回りが多少なりとも低下すると、途端に市場の一部では「今後もインフレ圧力は弱いままで、米国債利回りの低下は続く」などと言う声が聞かれ始める。加えて、足下では「米国内でワクチン接種がもたらす安心感と油断によって新型コロナウイルス感染が再び広がりかねない」と懸念する声も聞かれる。
 こうした市場の憶測によって米長期金利は低下傾向を辿り、ドル/円は値を下げ始めているとの“後付け講釈”は、多分に「ドルロング勢の利益確定売りや円ショート勢の買い戻しの口実として便利に使われている」と見ていいだろう。思えば、シカゴIMM通貨先物ポジションにおける投機筋の円売り越しは3月末にかけて目立って積み上がっていた。もちろん、目先筋によるポジション調整は一時的なものに留まることとなろう。
 その実、先週末9日に中国の生産者物価指数が予想を上回る強い結果となったことに加えて、3月の米生産者物価指数も大きな伸びを示したことから、それらを受けて米10年債利回りは一時1.68%台まで上昇してきている。今週は、3月の米消費者物価指数や米小売売上高の発表が控えており、ともに強めの結果が見込まれていることから、あらためて市場のインフレ期待が少々高まる可能性があると見られる。
 また、米国内での新型コロナウイルス感染再拡大については、同国内でのワクチン展開が前倒しで進んでいることとの兼ね合いで考える必要がある。既知のとおり、バイデン米大統領は「4月19日までに米国の全成人を新型コロナウイルスワクチンの接種対象とするよう訴える」と見通されている。よって、感染再拡大は杞憂に終わり、早期に米国が“日常”を取り戻してインフレ率の上昇傾向が再確認される可能性は高い。

 一方、ショート勢によるユーロの買い戻し)は、そろそろ頭打ちとなる可能性が高いと見る。ユーロ圏内における「変異株」の猛威は域内における行動規制をより厳しいものにしており、やはり当面はユーロの戻りにも限りがあると見ておくのが無難であろう。
 目先は、ユーロ/ドルが1.1900ドル処をクリアに下抜けるかどうかに注目し、下抜けてきた場合には1.1800ドル台前半の水準を一つの目安に一旦ショートを仕掛けたいと個人的には考える。
(04月12日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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