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第766回 ドルの押し目は買いの算段で臨みたい

2021年07月19日

 先週末16日、米10年債利回りが1.30%割れの水準まで低下した。日本時間の21:30に発表された6月の米小売売上高が強めの結果であったこと受けて一時は1.33%台まで上昇する場面もあったが、その後に発表された7月の米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値が5カ月ぶりの低水準となったことで、あらためて利回り低下に拍車がかかることとなったのである。
 米小売売上高の結果が示す通り、足元の米個人消費は経済活動の再開によって確実に盛り上がっている。衣料品や飲食店の伸びが目立っているのは、外出機会が増えていることの証と言えよう。一方で、物価上昇への懸念が消費者マインドを低下させていることも事実である。ことに高額商品に対する購入意欲の低下が見て取れることから、人々は物価の上昇傾向が続くとの前提で「暫くは倹約が必要」と考えている模様だ。

 先週行われた米下院金融サービス委員会ならびに米上院銀行委員会で、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は今後のインフレ動向について「向こう数カ月高い水準が続いた後、鈍化する可能性が高い」と証言していた。
 果たして、インフレは一時的なものに留まるのか否か。米消費者も市場もその答えを見出すことができず、当面の対応について明確な判断を下せていない。それは、極めて稀なパンデミックの発生や変異株による感染再拡大という状況にあっては致し方ない。
 ただ、米国をはじめとする世界各国の国債利回りが足元で低下傾向を辿っているという現実がそこにある以上、市場では利回り上昇に備えて抱えていたポジション(持ち高)を一旦解消しておかざるを得ない。そうしたテクニカルな要因で一時的にも国債が次々に買い戻されているということも理解しておく必要はあろう。
 むろん、国債を買い戻す動きにも自ずと物理的限界というものがある。ワクチンの普及が世界的に進んでいるなかで、このまま世界の国債利回りが低下し続けるということもあるまい。肝心の米国債利回りにあっても、そろそろ下げ止まって、ほどなくジワリと反発し始める公算が大きいと見られる。そうなれば、今度は国債の売りが売りを呼ぶ(一時的にも利回りが急上昇する)展開となる可能性も十分にあろう。

 その意味で、目先的にもドルが弱含みの展開となる場面では、すかさず押し目買いを入れておきたいと個人的には考える。ことに、ドル/円については当面の下値の目安をチャートポイント上に見出しておき、そこまで下げればとりあえずは試し買いを入れてゆくという算段で臨みたい。
 なにしろ、当面は円を積極的に買い上がる根拠に乏しい状況が続く。その最大の要因が東京五輪にあることは言うまでもないだろう。開催期間中に変異株がどれだけの猛威を振るうこととなるのが誰にも想像がつかない。まして、日本国内のワクチン展開には目下のところ急ブレーキがかかる事態となっている。そのことが政局を不安定にもしており、同じ理由でこのところの日本株は冴えない値動きを続けている。
 当面のドル/円の下値の目安としては、一つに一目均衡表の日足「雲」上限の水準(現在は109.55円処)ということになろう。それは、7月8日につけた直近安値とほぼ同水準であると同時に、4月安値から直近高値までの上げに対する半値(50%)押しの水準でもある。仮に同水準をクリアに下抜けると、61.8%押しの水準や日足「雲」下限が位置する109.00-10円処まで下値を試しに行く可能性もあろう。
 一方、ユーロ/ドルは足元では89日移動平均線が200日移動平均線を下抜け、21日移動平均線との位置関係からしても「弱気のパーフェクト・オーダー(計算期間が長い順に上から並ぶ)」が示現する格好となっている。目下は、昨年11月安値と今年3月安値を結ぶサポートラインを試す状況となっており、これを下抜ければ3月安値の1.1704ドルが目先的にも意識されやすくなると見る。
(07月19日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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