FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX・CFD・証券取引・外国為替のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第771回 パウエル発言で一旦ドル弱含むも…下値が堅いことに変わりはない
外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第771回 パウエル発言で一旦ドル弱含むも…下値が堅いことに変わりはない

2021年08月30日

 市場が大いに注目していた米連邦準備理事会(FRB)の年次シンポジウムにおけるパウエル議長の講演(オンライン方式)という“一大イベント”を通過した。
 事前に米セントルイス連銀のブラード総裁やカンザスシティ連銀のジョージ総裁らによるタカ派寄りの発言が伝わったことで市場は若干警戒を強めていたが、フタを開けてみればパウエル氏のスピーチは「ほぼ予想通り」、というよりも「想定したほどタカ派的ではない」という印象であった。結果、ドルは一旦売られることとなったが、基本的には今後もドルの下値が堅いことに変わりはないと思われる。
 事前にジョージ総裁は、デルタ変異株の潜在的リスクについて「人々の労働市場への復帰のスピードを幾分遅らせるかもしれない。だが、最初にコロナへの対応を迫られた昨年のように景気に支障を来すとは現時点で予想していない」と述べていたが、それは確かに“ご尤も”である。ワクチンの普及が始まる前とはやはり違う。
 むしろ、8月、9月以降、米国の雇用情勢が一気に改善へと向かう可能性は高いと見られ、米国内における感染拡大のピークアウトは早めに訪れるかもしれない。今週3日に発表される8月の米雇用統計に大幅な雇用者数の増加が認められる可能性も否定ではきないし、遅くとも9月には失業保険手当ての上値乗せ給付が全面的に終了することなどによって着実に求職活動を再開する向きは急増する可能性が高い。
 また、バイデン米政権が「3回目のワクチン接種を9月にも開始するとしていること」や「ワクチン接種を採用の条件とする求人が急増していること」などにより、そう遠くない将来において米国内の感染拡大がピークアウトする可能性も高いと思われる。
 そもそも、パウエル議長は「景気回復が続けば年内の量的緩和縮小が適切」との考えをしっかりと表明しているのである。「テーパリングは直接的な利上げへのシグナルではない」との発言も、今さら驚くようなことではない。米国景気は今後も回復軌道を辿り続ける可能性の方が高い。そう考えれば、今回の“イベント”を機に市場でドル売り圧力が一気に強まるなどということは考えにくいのではないか。

 もちろん、今回のパウエル発言によって、ユーロ/ドルが8月初旬以降ずっと上値抵抗として意識されていた21日移動平均線(21日線)を上抜ける格好となったことは事実である。ただ、それは目先のストップロスが巻き込まれた結果でもあり、ひとまずは1.1800ドル処が当面の上値抵抗として意識されやしないかを確認したい。
 仮に、ユーロ/ドルが短期的にもう一段の上値を取りに行くとすれば、それは原油価格との絡みでポンド/ドルが戻りを試す展開となった場合であろう。先週末27日のWTI原油先物価格は一時69ドル台を回復する場面があり、結果的に一週間で7ドルほどの値上がりを見せた。目先を言えば、それは熱帯性低気圧「アイダ」がメキシコ湾岸に上陸する見通しとなったことが一因であったが、目下の市場は9月1日にOPECプラスの閣僚級会合が行われることに対しても大いに関心を寄せている。
 同会合では一段の減産縮小に慎重な姿勢が示されると見る向きも少なくはなく、結果的に原油価格が一段の戻りを見ることとなれば、連れてポンド/ドルも戻りを試しやすくなり、そうなればユーロ/ドルにも多少の上値余地が生じることとなる。
 その場合、ユーロ/ドルは7月30日高値から8月20日安値までの下げに対する61.8%戻し=1.1815ドル処や76.4%戻し1.1850ドル処を試す可能性があると見るが、いずれもしても戻り売り姿勢を基本に臨みたいと考える。
 前述したとおり、今週末に発表される8月の米雇用統計は前回(7月)と同様もしくは前回以上に強い結果となる可能性があり、そうなればドルを買い戻す動きもあらためて強まろう。その場合、ドル/円は110円台の値固めから少なくとも8月11日高値=110.80円処を試す展開となっておかしくないと見る。
(08月30日 07:00)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第771回 パウエル発言で一旦ドル弱含むも…下値が堅いことに変わりはない