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第779回 中銀のメッセージに対する市場の「疑い」は誤りか?

2021年11月01日

 先週末29日の外為市場では、ユーロ/ドルとポンド/ドルの下げが目立った。ことさらユーロ/ドルに関しては、前日(28日)の上昇が目を惹くものであっただけに、その反落ぶりはなおさらインパクトが強いものとなった。
もちろん、月末のロンドン・フィキシングに絡んだユーロ&ポンド売り・ドル買いのフローという側面もあろう。加えて、欧・米・英の金融政策会合の日程が月を跨ぐことになった点も見逃せないポイントである。既知のとおり、ECB理事会が先週28日に開催済みである一方、米国のFOMCは今週2~3日、英国のMPCは今週4日に行われる。

先週30日付の日本経済新聞に『早期利上げ否定 疑う市場』との見出しが躍った。要するに、目下は各国・地域における「中央銀行の認識」と「市場の見方」が分かれている=市場は中銀が発するメッセージの内容を疑っているというわけである。
実際、10月のECB理事会は金融政策の現状維持を決め、ラガルド総裁は「(インフレは)2022年中に後退する」と述べた。つまり、2022年末までの利上げを予想する市場参加者らの見方を否定した。それでも市場は、ラガルド氏の会見内容について「(全体的には)想定よりもタカ派寄りだった」と捉えた模様である。
確かに、ユーロ圏内のインフレ率は足元でECBが目標とする水準を大きく超えている。ラガルド氏も「インフレ高進の時期が予想より長く続く」、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は(予定通り)来年3月で終了する」とは述べているが、それはパンデミックが収束に向かう状況を考えれば当然の措置=文字通り「正常化」である。
目下のインフレ高進が主に「供給制約」を原因とするものであることは、市場も理解しているはずである。パンデミックで世の中の需要が一時「消滅」し、今それが一気に復活してきているのだから供給が目詰まりするのも当然のこと。むろん、いずれは供給も追いつくようになり、結果インフレは後退する。
何より重要なことは、一つに「利上げは供給制約の解決策にはならない」ということでる。ヘタをすれば解決の障害になり得る。今一つは「主要中銀のトップが市場との『対話』を重んじて“巧みな言葉回し”をすることはままあるが、意図して嘘をつくこともレベルの低い判断ミスを犯すことも普通はない」ということである。
かねて「市場はときに誤ることがある」と言われるが、仮に誤っているならば、いずれその誤りに気付かされることとなる。足元の状況で言えば、市場の「疑い」は誤っている可能性がある。そして、そこにこそ投資のチャンスは潜んでいると言える。もちろん、市場が誤る局面では素直にその誤りに乗ることも必要であるし、誤りに気付かされる局面が来たら、それまでとは逆の流れに機敏に乗り換えることも必要である。

とまれ、当面は「FRBやBOEに比べてECBの方が早期の緩和縮小に慎重である」という状況に変わりはないだろう。そうであるとすれば、やはり今後もユーロ/ドルについては戻り売り姿勢で臨むのが基本ということになろう。
差し当たっては、今週以降の週足ロウソクが一目均衡表の週足「雲」下限(現在は1.1575ドル処)を下抜けるかどうかに要注目。同水準をクリアに下抜ければ、そこから一気に下値余地が広がりやすくなると見る。ちなみに、1.1450ドル処には月足の薄い「雲」も控えており、その意味からの目下のユーロ/ドルは一つの正念場にある。
一方、ドル/円は10月20日以降、調整ムードが色濃い展開を続けている。FOMCを控えた様子見の側面も大いにあったと見ていいだろう。それでも、10月の月足ロウソクは結局のところ月末終値で月足「雲」上限を上抜けた。結果、チャートフェイスから受ける印象は一変し、一部で囁かれる「115円の壁」を突破する可能性も高まってきたと個人的には考える。仮に、今週のFOMCや11月の米雇用統計の結果で一旦下げたなら、そこは押し目買いのチャンスになると見ておきたい。

(11月01日 07:00)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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