新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント
【トルコリラの材料と予測】
先週はトルコ中銀の利上げによってリラが堅調に推移しました。しかし今週はトルコの地政学的リスクが再び注目されています。
地中海でEUの監視任務に就いていたドイツのフリゲート艦が22日にトルコの貨物船に同意なしで乗り込み検査を行いました。トルコは公海上の民間船への強制検査は国際法違反に当たるとしてドイツ、EU大使を呼び出して抗議しました。
ドイツは国連安保理の決議に違反してリビアに武器を密輸する疑いのある船の検査だったとしています。ドイツ側は密輸の疑いのある船舶の検査をトルコが妨害したとしています。トルコはリビアへの武器を密輸しているとの疑いが浮上しています。
資源探査をめぐってEUと対立している中で、さらに対立を加速する事態はトルコリラにとってはマイナス材料です。
USD/TRY 1時間足BIDチャート
ドルトルコリラはトルコ中央銀行の利上げを受けて7.4879リラまで下落してリラ高が進みました。しかしそこから8.0267リラまで反発し7.8640付近で推移しています。
トルコを取り巻く環境はインフレだけでなく経常収支の赤字、地政学的リスクなど様々あり、中銀の利上げでとりあえずリラの急落を押さえましたが、今後リラが恒常的に上昇するためにはまだ課題の解決が必要なようです。
8リラ付近が短期的なレジスタンスとなれば7.5~8リラのレンジが予想されます。
TRY/JPY 4時間足BIDチャート
リラ円も中銀の利上げを受けて13.829円まで上昇しましたが、その後12.928円まで下落し13.217円付近で推移しています。
12.91付近は11月6日の安値11.999から19日の高値13.829円の50%戻しに当たり、ここが短期的なサポートとして機能しています。一方で13.30付近が上昇後のサポートになっていたところで短期的なレジスタンスなっています。12.91付近のサポートが維持できれば12.91~14円のレンジ、12.91を下抜けした場合は61.8%戻しの12.70付近への下落を予想します。
【南アフリカランドの材料と予測】
20日のレビューで南アフリカは格下げとなりました。しかも予想されていた大手格付け会社ムーディーズだけではなく、フィッチも格下げに動きました。
ムーディーズは格付けをBa1からBa2に格下げ、見通しはネガティブとしました。S&Pは格付けをBB-に据え置き、見通しをネガティブとしました。フィッチは格付けをBBからBB-に引き下げ、見通しはネガティブとしました。
南アフリカはすでにジャンク級となっているために、この格下げの決定に対して週明けの為替市場はあまり反応しませんでした。
ムボウェニ財務相はこの格下げに対して、コロナの感染というある意味不可抗力の事態の中での格下げであると不満を述べました。
25日に発表された10月の消費者物価指数は前年比3.3%となり前回、予想の3%を上回りました。26日に発表された生産者物価指数は前年比2.7%と前回、予想の2.5%を上回りました。両指標を見る限り物価はジワリ上昇してきています。
USD/ZAR 1時間足BIDチャート
ドルランドは26日に15.0894ランドまで下落しましたが、ここで反発し15.2329まで上昇しました。日足ベースでみるとRSIがダイバージェンシーして底打ちの気配があります。節目の15がサポートされれば15.30付近への反発を予想します。
ZAR/JPY 日足BIDチャート
ランド円もRSIがややダイバージェンシー気味になっていて天井圏になる可能性があります。しかしレジスタンスの6.7円付近がサポートして6.909円に上昇しています。ここがサポートできれば7円付近への上昇を予想します。
【メキシコのペソの材料と予測】
メキシコペソはドル安の流れもありペソ高が進んでいます。今週発表された指標は24日発表の10月の失業率は4.7%と前回の5.1%、予想の5%から改善しました。25日発表の9月小売売上高も前月比2.7%と前回の2.55、予想の2%から改善しました。26日に発表された第3四半期のGDPは前年比-8.6%と前回の-18.7%から改善が見られました。
メキシコのコロナウイルス感染はあまり抑えられていませんが、経済は改善の兆しが見えてきています。
USD/MXN 1時間足BIDチャート
ドルメキシコペソは26日に19.9282まで下落しました。日足ベースのRSIはダイバージェンシーしており、底値圏の可能性もあります。節目の20割れがサポートされており、このレベルが維持されれば20.17付近への反発を予想します。
MXN/JPY 日足BIDチャート
ペソ円は11月9日の高値5.236、11月26日の高値5.235円と、このレベルがレジスタンスになっています。短期的には5.12円、そこを抜けると5円付近がサポートと予想され5~5.25円のレンジを予想します。