新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント

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「下落が加速するリラと注目のランド、ペソ」

2022年06月10日

新興国通貨 四本値 フィボナッチリトレースメント ピボットポイント


【下落を続けるトルコリラ】
エルドアン大統領は6日、物価上昇にもかかわらず、今後も利下げを続けていくという方針を示しました。正統派の経済理論に反する政策であり、生産や輸出、雇用を促進して経常収支の黒字を拡大することで、通貨を安定させて、インフレを抑えるという考えを示しました。
さらに政府は決して利上げをせず、利下げを継続することで、国民は低金利融資を受けて投資を行うことを促進すると発言しました。
利下げでインフレを抑えるという大統領の特殊な理論に対して、リラは下落を加速させました。

USD/TRY 日足BIDチャート

大統領の発言以降、ドルトルコリラはレジスタンスになっていた16.5リラを上抜けて上昇が加速し、17.21リラまで上昇しています。短期的には16.5リラがサポートとなり、昨年12月20日の高値18.27リラを目指す動きを予想します。

TRY/JPY 日足BIDチャート

リラ円は8円付近がレジスタンスとなり、7.73円付近に下落しています。7.6円付近が短期的にはサポートになっており、ここが維持できれば7.6~8円のレンジを予想します。


【好調なGDPでランドは堅調に】
7日に発表された第1四半期のGDPは前期比1.9%増、前年比3%増となり、予想の1.2%、1.7%を上回りました。強い数字にランドは上昇しました。
しかし4月初旬の大洪水は、経済に大きな被害を与えました。また恒久的に電力の供給が不足しており、いずれも経済の成長にはマイナス材料になるという予想もあります。
さらにIMFは南アフリカの経済成長見通しに対して、懸念を示しました。経済に悪影響を及ぼしている原因は、洪水、地政学的な不透明感、世界的な金融引き締めの影響、中国経済の減速などを挙げています。

USD/ZAR 日足BIDチャート

ランドは堅調に推移し、4週連続でドルランドは下落しています。15.1582まで下落していったん下げ渋っています。15.8ランド付近が短期的なレジスタンスになり、ここを抜けられないと15ランド付近への下落を予想します。

ZAR/JPY 月足BIDチャート

ランド円は8円割れの7.863円まで下落しましたが、反発して8.815円まで上昇しました。8円がサポートとなっており、節目の9円、2018年2月の高値9.28円がレジスタンスとして意識されます。


【ペソ円は重要レジスタンスに接近】
5日行われた地方選挙の6日時点の速報では、ロペスオブラドール大統領の与党が6州のうち4州の知事ポストを獲得しました。2024年の大統領選挙に向けて、基盤が強化されました。
MORENA(国家再生運動)率いる与党連合が、オアハカ、キンタナロー、イダルゴ、タマウリパスの知事選で勝利しました。
大統領の任期は6年で再選はできませんが、これでロペスオブラドール大統領は後継者候補への大きな影響力を持つ見込みです。

USD/MXN 日足BIDチャート

ドルメキシコペソは30日に19.4038ペソまで下落しましたが、19.63ペソ付近に反発しています。19.8ペソ付近が短期的なレジスタンスになり、19.4~19.8ペソのレンジを予想します。

MXN/JPY 月足BIDチャート

ペソ円はレジスタンスになっていた6.5円を上抜けし、6.869円まで上昇しました。7円が2016年以来のレジスタンスレベルで、ここを抜けなければ6.5~7円のレンジを予想します。

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プロフィール

  • 著者近影 YEN蔵(田代岳)(えんぞう(たしろがく))
    投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行と外資系銀行にて、20年以上、外国為替ディーラーとして活躍。 為替を中心に株式、債券、商品、仮想通貨と幅広くマーケットをカバーして、分かりやすい解説を行っている。


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