先週末3日のNYダウ平均は5日続伸。1週間で計1643ドルも値上がりした。ナスダック総合指数は6日続伸で、それだけ米金利が基本弱含みで推移したことになる。
実際、3日には米10年債利回りが一時4.5%を割り込む場面もあり、言うまでもなく株式市場(とくにナスダック市場)にとっては都合のいい状況。先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)において予想通り2会合連続で政策が据え置かれたことや、FOMC後に伝わったパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言内容を総合的に勘案して、市場は米利上げが既に終結したとの見方を強めている。
そうした見方を裏付けるような弱めの米経済指標が相次ぎ発表されたことも見逃せない。既知のとおり、3日に発表された10月の米雇用統計は全体に予想を下回る結果となり、同日発表された10月のISM非製造業景気指数や非製造業PMI、その前日(2日)に発表された9月の米耐久財受注、1日に発表された10月のISM製造業景気指数なども軒並み市場予想を下回るものとなった。
加えて、米財務省が1日に公表した23年11月~24年1月の国債発行計画において米国債増発規模が市場の予想よりも小幅に留まることが明らかにされたことも大きい。このところ強まっていた米財政悪化リスクに対する警戒が多少なり緩んだことで、ようやく米金利の上昇がピークアウトした可能性があるとの見方につながっている。
結果、ドル/円は週末にかけて3日続落となり、週末のNY時間には一時149.20円処まで下押す場面もあった。ただ、これは10月31日に明らかとなった日銀金融政策決定会合の結果などを受けて大きく値を上げたことに対する「反動」の範疇に留まると見ることもできるだろう。
振り返れば、31日のドル/円の上昇は、それまで仕掛け的にドル/円を売り込んでいた向きが、想定よりもハト派寄りだった日銀会合の結果を受け、大慌てで買い戻しに走った結果でもあった。もちろん、同時に財務省が発表した9月28日~10月27日までの『外国為替平衡操作額』が「0(ゼロ)円」だったことも大きい。
その結果、ドル/円は一時151.70円処まで上値を伸ばしたわけだが、それでも昨年10月高値の151.94円には届かず、その後わかりやすく値を下げたことは印象的であったと言える。このことにより、少なくとも先週のドル/円の週足ロウソクが長い上ヒゲを伴う陰線(上陰陰線)の形状を成したことだけは事実である。
つまるところ、ドル/円は約1年がかりでダブル・トップを形成した可能性があるということになり、そのネックライン水準と考えることができる今年1月安値の127.50円処を少し長い目で意識した展開になっていく可能性もあると見る。
もちろん、今回のFOMCは言うなれば「タカ派な据え置き」の印象であったし、FRB関係者らの姿勢も依然としてインフレ抑制の方に傾きがちである。日銀がマイナス金利の解除に動き出すまでにはまだかなりの時間を要するだろうし、仮にマイナス金利を解除したところで円キャリートレードはまだまだ有効な状態が続く。
ドル/円が150円を下回る水準に留まる限りは、本邦当局による介入への警戒感もそうは強まらず、ここから極端に円買い・ドル売りの動きが強まるとは考えにくい。したがって、今しばらくドル/円は手掛けにくい状態がまだ続くと思われる。
その点、ユーロ/ドルは足元で取引妙味が増している。先週末にかけては9月のECB理事会開催前の水準まで持ち直しており、このことは9月のECB理事会と今回のFOMCが、ともに市場が利上げ打ち止めを意識した会合になったことを意味する。つまり、今後は「政策」よりも「景気」。そのベクトルという意味では、欧州よりも米国の方がややキツイ下向きとなる可能性もないではないと思われる。
(11/06 07:00)
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