先週21日、ドル/円は一時147.20円処まで急落する場面があった。今月14日に発表された米消費者物価指数(CPI)の結果を受けたドル売りの流れの一環という側面もあったにはあったが、何より大きかったのは感謝祭を控えて、それまで大きく積み上がっていた円ショートのポジションを解消する動きが一気に強まったことである。
周知のとおり、短期筋を中心とした円ショートの積み上がり方はここ数年見られなかったほどのボリュームになっていた。それが一気に巻き戻されたことで踏み上げの動きが誘発され、少々極端な形でドル/円はスルスルと値を下げてしまったわけである。
振り返ると、21日のNY時間(日本時間の22日午前4時)には前回開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される予定だったわけで、その内容が「ややタカ派寄り」であることは大方想像がついていた。よって、同日のドル/円の下げはあくまで「感謝祭前ならでは」の状況が演出したものと考えるのが妥当である。
実際、一旦大きく下落したドル/円は89日移動平均線が位置するところで分かりやすく下げ止まり、切り返してからはFOMC議事録の内容に反応するなどして一目均衡表(日足)の「雲」の上方に再び浮上。その後は、米ミシガン大学が発表した11月の消費者態度指数(確報値)や消費者の期待インフレ率が予想を上回ったことなどを受け、日足の「基準線」が位置するところまで持ち直した
ただ、目下のドル/円は日足の基準線が位置するところ(149.50円処)に上値を押さえられる格好となっており、この週明け以降、まずは同水準をクリアに上抜けるかどうかが一つの重要なポイントになると見られる。
この基準線とほぼ同じ水準には日足の「転換線」も位置しており、さらには日足の「遅行線」が日々線を再び上抜けるかどうかの瀬戸際という状態にもある。仮に、ここで押し戻される展開となった場合は、差し当たり日足の「雲」上限が目先の下値サポートとして機能し続けるかどうかに注目することになる。
つまるところ、10月の米CPIと米生産者物価指数(PPI)の結果を受けたドル/円の下げというのは15日の安値である150円処までで、その後の下げは「感謝祭前」という特殊要因が演出したものであったと、今のところは解釈できる。ただ、重要な心理的節目である150円処をひとたび下抜けてしまった以上、今後再び150円台を回復するには相応の材料が必要になると見ておかねばなるまい。
むろん、当面は今年の米年末商戦に関わる様々なデータ結果や市場の見解などが材料視されやすくなると思われるが、今のところ売上高の伸び率は数年ぶりの低い水準になると見る向きが多いことも事実であり、基本的にドルの上値は重くなりやすいと見る。
その一方で、日銀はこのところ「予想物価上昇率を考慮した金利水準は低い」との情報発信を盛んに行っており、市場には「マイナス金利解除が近づいている兆候」と警戒するムードが広がり始めている。もちろん、仮にマイナス金利を解除したところで、なおも「金融環境は緩和的」であることに変わりはない。とはいえ、とかく市場が日銀の出方に神経質になり、ときに過敏な反応を示してしまうことがあることも事実ではある。
前回更新分では「クロス円に戻り売りを仕掛けるタイミングをじっくり見定める戦略が有効」と述べ、ひとまず21日の下げでクロス円のショートはひと回転できた。その後、ドル/円、クロス円はともに戻りを試す動きとなっており、再び戻り売りのタイミングをうかがう局面が訪れていると思われる。
(11/27 07:00)
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