FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第555回 ~ドル売りの空気拡大の気配~
為替大観

最新の記事

第555回 ~ドル売りの空気拡大の気配~

2023年12月06日

12月は、中央銀行ウイークが再来する。今年最後のイベントは政策金利の天井圏の確認、と言うより、利下げ開始の号砲になるのではないだろうか。2024年の年間見通しは12月最終号に掲載予定だが、今回はそのプレビューとして、現在の市場の空気をよんでみたい。

歴史的には、為替相場決定要因として経常(貿易)収支説、金利説、心理説などがあるが、これらは主に需給で整理される。単純に言えば、理由はともかく買いたい人が多ければその通貨は上昇し、売りたい人が多い場合は下落する。売買主体により、実需と投機があるが、その実態を積み上げていけば相場見通しが出来上がる。筆者の考え方は、心理説に近いと言え、活用ポイントを説明したい。

重要な点は、常に現状分析を行うことだ。現在の相場が今日までどのように出来上がったかを知ることである。つまり目的を明確にすることだが、筆者の判断基準は、「相場は若いか、古いか?」の区分である。若いとは、今出来上がっている相場は最近浮上した要因で新たに動いているかであり、また古いとは、長い間同じ要因で相場が動いている結果、ここに辿り着いているか、である。

現在の為替市場でいえば、どの通貨もかなり古い相場であると言える。具体的には新型コロナショック解決のために行った大幅金融緩和から引き締めに転じた時がスタートであり、既に2年近く経過していることだ。すなわち金利差を要因とした為替変動は、終盤にさしかかっているとの見方である。政策金利は既に5%、多くの銀行が5%以上で据え置きを続けている。登山でいえば9合目に達し、場合によっては頂上に辿り着いている可能性がある。

例えば、ニュージーランド(NZ)中銀が引き締め(利上げ)に転じたのが2021年10月(2020年3月16日から続けていた0.25%を1年7カ月ぶりに引き上げ0.50%と設定)であり、その後これまでたびたび、他国の利上げに先行してきた。現在は、今年5月に5.5%に引き上げて以来、最近(11月29日)まで4回連続据え置きを続けている。今週は豪州中銀も前回の利上げから一転して4.35%に据え置きを決定、今日は2回連続して据え置きを続けているカナダ中銀の決定がある。主要国ではないものの、機動的な変更ができる中央銀行として、他国の先行指標になる可能性があると注目している。

そして、米国経済動向も重要な追跡項目だ。第3四半期GDPが+5.2%(前期比年率)とコロナショック以降最大の成長を示しているが、この数字はバックミラーで見ているようなもの、個別項目では、第4四半期に入り景気後退の指標が増加している。今まで強いと言われた雇用市場も緩和傾向が顕著になってきた。昨日発表になった10月米求人件数は、873.3万人と前月の935万人から減少、市場予想をも下回り、2021年3月以来の低水準となった。労働市場の緩和、落ち込みが浮上してきた。

今週金曜日8日には、重要指標の一つ雇用統計が発表になる。ヘッドラインの一つである非農業部門雇用者数の市場予想は+19万人と前月(+15万人)より増加が見込まれているが、来週のFOMC(12/12-13)を前にして、12日のCPIと合わせて極めて重要なデータとなり、FRBの決定に大きな判断材料になるので、例月以上に市場へ与える影響、ボラテリティは大きくなると警戒している。

さて、そこで相場予想だが、ドル円は145.50-148.50円とドル安を予想、ユーロドルはECBの利下げバイアスを先取りしてユーロは軟調に推移するとみて1.0650-1.0950、対円は157.00-160.00円と先週より大幅な円高を予想、そして英ポンドドルは1.2450-1.2750とポンドの小幅安を予想する。

(2023/12/6、 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産等取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第555回 ~ドル売りの空気拡大の気配~