2025年は為替市場は比較的静かに始まった。過去には、日本がお正月休みの時に海外市場で乱高下となった年もあったことを考えると、今年は取り立てて騒ぐほどの大きなニュースにはなっていない。しかし、わずか1週間の取引期間であるが、ドルは全面高となっている。ドルインデックス相場は、109.533(1月2日)まで上昇、これは2022年11月以来の高値である。
このドル高の要因はファンダメンタルズ的にはシンプルだ。日米の成長力差、金利差、足もとの経済の強弱を比較すれば、米国の優位性は明白である。「強い所にお金は流れる」だ。しかし為替の変動要因は幅広い。特に政治、米国国家戦略、介入政策から大きな影響をうける。中長期的な展望を行う時には欠かせない視点だ。そこで、これらの要点を交えながら、2025年のキーワードが炙り出してみた。
それが筆者の年始恒例の「干支によるキーワード分析」である。今年は巳年、別な言葉では蛇、SNAKEの頭文字を使い、キーワード、投資環境、リスクの3分野で整理した。これは後半に述べるとして、まず年初の金融相場動向を整理しておきたい。
新年のドル円は、1月2日に為替市場がオープンして以来、ドルは売られそうで持ち直しの展開を繰り返している。一方で12月19日以降何度もトライしていた158円超えは2025年に入っても跳ね返されていた。それが昨日7日に本格的に158円台での取引が展開され、昨年2024年7月16日以来となる約半年ぶりの158円台での終値となった。この要因は、米国経済の堅実さの表れを背景にしたドル金利の上昇(10年債利回り6.999%、 2024年4月以来の高水準)、いわゆる金利差相場でのドル買いである。裏を返せば円高になる要因より強い、と言うことになる。さらに1月20日のトランプ大統領就任を控えて、既に漏れ伝わってきた政策を見越したアメリカ買いも窺える。
チャート的には高原状態が続いている形だ。経験的にいつまでも横ばいが続くことはない。今週末10日金曜日の米雇用統計が第一の関門となる。まず今日発表の民間雇用者の先行指標となるADP統計に注目したい。先月の実績14.6万人に対し、予想は14.0万人と小幅減少となっている。そして雇用統計のヘッドライン(最初に発表される見出し項目)はNFP(非農業部門雇用者数)が、予想は16.0万人(先月は22.7万人)と減少予想、一方失業率は4.2%と変わらず、となっている。今回は12月の計数であり、季節的に大きな増加は見込めないことから減少予想となっているが、実績が増加(前2か月の改訂も含めて)に転じるようであれば、160円まで大きな節目が見えないことから、一気に大台越え目指す展開も想定される。
今月は、再び中央銀行の政策決定会合が行われる月である。物価も高止まりから上昇する兆しも見える。来週15日の消費者物価発表を含めて、今年もデータ発表に合わせ値動きの大きな展開が続くであろう。
さて、干支による今年の代表的なキーワード(カッコ内は筆者の答え)は以下の通り。
「S」Strong:資金を集める「強い」国を探す(アメリカ)
「N」New:アメリカ大統領が変わり、新しい体制、仕組み、規制が生み出される
(新しい通貨体制への仕掛け←ベッセント新財務長官に注目)
「A」Animal Spirit:動物的な勘による相場観(本稿606号参照)
「K」K-shaped Economy:K字のように二極分化する世界の経済力(例:強い米国 対 弱い欧州)
「E」Election:国内政治構造を変えるかもしれない選挙(ドイツ、カナダ、日本→体制が変われば通貨安)
今後1週間の相場予想を再開したい。まずドル円はドル堅調が続くと考え157.50-160.50円と予想。またユーロドルは、物価低下、ユーロの柱・ドイツの政治経済弱体化を嫌気して1.0180-1.0450とユーロ安を予想。ユーロ円は161.00-164.00円とこれまでの1週間と同じと予想。そして英ポンドドルは1.2300-1.2550とポンド弱含みと予想する。
(2025/1/8、 小池正一郎)
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