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第428回 ~FRBが重視する包摂雇用~

2021年04月14日

 今年はドル高でスタート、3ヶ月連続して月足陽線(月の寄付きに比較し、その月のNY市場終値がドル高となること)であった。しかし、いまのところ、ドルの強さは第一四半期で終り、4/1からの第二四半期はまるでその反対、ドル売りが続く展開となっている。昨日の海外市場では、3/25以来の108円台を付けた。

 一方で、月初に出そろう市場参加者の月間&年間予想は大きく円安にシフトしていた。コンセンサスとしては年末110 円±2円となる。そして、今月の陽線基準相場は4月1日の寄付き110.76円なので、現水準より約2円円安となり、今年の高値(3月末の110.97円)を超える勢いが必要だ。

 そこで、今月の動きだが4月1日から今日で10ヵ日目。昨日まで日足で陽線は2日だけで、それも小幅、感覚的には続落していると思える値動きだ。ここからドルは上昇していけば2円は遠くないだろうが、売られた場合は、3月に2週間にわたりサポートになっていた108.40円が重要なポイントになる。その水準上を維持していかなければ、ドル上昇の勢いがよみがえることはないと言える。

 ところで、現在の市場のコンセンサスは、短期調整、中期ドル高だが、調整期間が短くなるか、長引くかも注目するポイントだ。筆者は今月末相場は109円と、今月は陰線で終わると予想している。

 その理由の一つは、米国の経済状況は極めて良いが、ドル金利を上昇させるほどの力はないと考えていること。強い点は、景況感は記録を取って以来の最も高い好況水準となり、雇用統計も復調の気配が出てきた。今後、バイデン政策で個人あてに現金支給がはじまっていることで、個人消費の増加が期待されることから、小売売上高の大幅な増加が見込まれ、住宅市況も先月の落ち込みの反動で再増加も期待されている。

 一方で、心配な点は、貿易赤字が月間ベースで史上最大の赤字幅、最近は財政赤字の急増もニュースになったことだ。これはどちらもドル安要因だ。長期的には、3月末にIMFから発表になった通貨別の外貨準備統計で、ドルの割合が減少していることもドルにとってはネガティブ要因だ。加えて、最近パウエル議長はじめFOMCメンバーから、失業率の見方についてのコメントが、ZIR(ゼロ・インタレスト・レート)政策の正当化、長期化もドル売りの材料になっていることも挙げられる。

 以前のFRBは、最大雇用として「完全(Full)雇用」を目指していたが、現在は「包摂(Inclusive)雇用」というより細かい言葉に変わっている。これは、多くの人(人種、障害の有無、年齢にかかわらず)が参加したうえで、失業率が低下することが必要と定義づけられており、具体的には「失業期間の短縮」と「労働参加率の上昇」を挙げている。今後ニュースのヘッドライン(雇用者数、失業率)だけでなく、統計の中身を吟味していくことが大切になる。

 さて、今後1週間の相場見通しは、ドル円は、108.20~110.20円と予想。ユーロは、対ドルで1.1850~1.2050、対円では129.50~131.00円と予想。一方、英ポンドは、先週と同じ1.3650~1.3950と予想する。

(2021/4/14, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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