FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

為替大観

最新の記事

第565回 ~2度あることは3度ある~

2024年02月14日

思いもかけない米1月CPIであった。ヘッドラインの指数が全て市場予想を上回る結果に、NYからのライブ中継で出てきた言葉は“Not good news for FED!”画面のチャートは瞬間直角に上下した。これでFedの利下げはかなり遠のいた! との読みで、金利は急上昇、株(市場オープン前なので、先物相場)は急落(市場でいう“Dive”、飛び込むような下落)、ドル円もあっという間に150円超えとなった。この展開から、予想外のインフレの加速に驚いたことが如実にわかる。

まず、主要計数は下記の通りだが、特に、注目されたのが「コア前月比の上昇」であった。
    前月比(予想)<12月>  年率 (予想)<12月>
総合 +0.3%(+0.2%)<+0.2%>、 +3.1%(+2.9%)<+3.4%>
コア +0.4%(+0.3%)<+0.3%>、 +3.9%(+3.7%)<+3.9%>

コア指数は、昨年7月以降+0.2~+0.3%のレンジで落ち着いていたが、サービス価格の低下が進んでおらず、FRBはもちろんのこと、市場も気にかけていた。それが今回は+0.4%に跳ね上がった。昨年5月(+0.4%)以来の伸び率だ。過去9カ月間、最も大きな伸び率(the fastest rate)との受け止めだ。この上昇に大きく反応したのが、前述の市場の慌てようだ。

一方コア年率ベースでもインフレ加速が明らかになった。昨年10月、11月と+4.0%が2カ月続き、12月は3.9%と低下、今回も予想は+3.7%と、2021年5月(+3.8%)以来の低水準を期待していた。それが前と変わりがなかったからだ。

それに加えて、インフレ加速と受け取られた数字が、足元の上昇である。過去3ヶ月の年率換算が+4.0%と前月の3.3%から大きく跳ね上がった。この大きな要因は住宅関連コストをはじめとするサービス価格の上昇が一向に下がってこないことだ。代表的な家賃についてみると、年率ベースでは+6.3%から6.2%に低下したが、前月比では+0.6%と前月(+0.4%)から上昇、また、足元も直近3ヶ月は年率+6.0%と前月の+5.7%から上昇している。

このような予想外の物価計数を受けて、市場はある意味当たり前のように反応した。しかし、中には、慎重に反応すべきとの意見も多い。パウエル議長が言っているデータとは、「単一データでなく複数のことだ」との考え方だ。政策当局者としては経済の趨勢を確認するという点で、データの積み重ねも求める。次回のFOMCは3月19-20日、その前に重要指標の雇用統計(3月8日)、CPI(3月12日)がある。もちろんそれ以外の経済指標も重要だ。明日15日は、小売売上高、鉱工業生産があり、16日は生産者物価に住宅着工が予定されている。CPIの数字が予想外であったことから、経済指標に対する反応度が一段ギアアップした状態である。

ところで、ドル円は今年も150円を超えてきた。3年連続である、2022年に151.94円、2023年は151.91円、そして今年2024年は現在の高値は150.88円である。筆者の持つ経験則に、「2度あることは3度ある」と言う言葉がある。介入警戒があるので簡単ではないかもしれないが、今の勢いではいずれ151円後半まで買われると予想している。問題はそのあとである。

これは二つの意味を持つ。一つは3度目のトライで越えたら151.90円近辺が次のレンジの最も安い水準となる(3度目の正直)。もう一つは、151円越えなければ、しばらくはその相場(今回は151円)に戻ってこない(3度さっぱり)。筆者の予想はまだない。ただ、重要な時期にさしかかっている、ということを認識している。この点では、介入の重さを日々意識している。

さて、今後1週間の相場予想だが、ドル円は149.00-151.50円と150円台は続くと予想する。ユーロドルは1.0600-1.0800とユーロは安値更新すると予想、また対円では159.00-162.00円とユーロ高を予想。そして英ポンドドルは1.2450-1.2700と小幅ポンド安と予想する。

(2024/2/14、 小池正一郎)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・SBI新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 為替大観 > 第565回 ~2度あることは3度ある~