次は150円だ。その勢いがだんだんと濃くなっているというのが市場の空気として伝わってきている。前回150円が取引されたのは8月1日、もう2か月あまり前のことであるが、いよいよその日が近づいているのかもしれない(筆者は異なる見方であるが…)。現在の市場の空気は「0.50%利下げ後不透明になったパウエル議長と、石破首相に会って時間的余裕を材料にした植田総裁の本音探り」である。今後の見通しはこのダブル効果の賞味期限と、あらたな材料の出現見通しである。そこで、今回は、ドル円10月の三つのシナリオを考えてみたい。
まずチャートでドル円の現在位置を確認する。今年最高値の161.95円(7月3日)から今日までの値動きを見れば、7月11日の161.76円からドル円はつるべ落とし、何回もパニック売りが続き、8月5日に141,67円の安値を付けた。1か月で20円あまりの下落、しかも最後の4営業日で12円あまり下落する大相場であった。そこまでが下落第一段階。
そして一旦149.40円(8月15日)まで上昇するも、そこからドル売り第2弾が始まり、9月16日の139.58円までドルは下落した。ここまでが下落第2段階。しかしこれが当面の二番底。その水準から今は緩やかな回復局面で推移、10月6日に149.13円まで上昇したが、8月15日の相場が意識されて反落、現在は再度の150円超えを狙う展開になっている。明日に迫った米国消費者物価がそのきっかけになるかもしれない。
さて筆者のメインシナリオ(確率60%)は、上記の市場の空気とは違うが、「米国の物価は継続的に低下、FRBの目標2%に近づいている。政策金利の引き下げは粛々と実行されるだろう。一瞬150円超えはあるかもしれないが、今後の個人消費や住宅関連指標の低下を材料に徐々にドルは下落、140円割れの流れも出てくる」。合わせて円サイドでも、円上昇の材料が出てくる。「日銀としても、政府の意向にとらわれて、日銀の独立性が失われるようなことがあってはならない」という声も出てくるはずだ。10月末までのレンジは、先週より円安気味に修正し、139-149円(月末141円)とする。
そしてサブシナリオ(確率30%)は、市場の空気に沿ったものだが、「米国の景気は持ち直し、金利は上昇(現在その状態)。日銀の利上げ可能性は後退、ドルは150円を回復する」というものだ。そしてリスクシナリオ(確率10%)は「中東情勢緊迫化で、原油価格の上昇の影響よりも地政学的な優位性を背景に、有事の円買いで一気に140円割れとなる」だ。
さて、明日10日に発表される重要な消費者物価の市場予想は以下のとおりである。
前月比 前年比
総合 +0.1% (前月 +0.2%) +2.3% (前月+2.5%)
コア +0.2% (前月 +0.3%) +3,2% (前月+3.2%)
これまでは、予想通りでも総合年率(前年比)の低下が主要因となり、ドル売りが起こった。今回も「材料出尽くし」よりも「実績確認」が優位になる可能性があることに留意していきたい。
ところで、ニュージーランド中銀は、今日政策金利を0.50%引き下げ、4.75%にした。前回(8月14日。0,25%引き下げ)に続いての利下げである。これで主要国ではもっとも高い国は英国(5.00%)になった。
さて、今後1週間の相場見通しであるが、ドル円は、146.80-149.80円とドル高基調と予想する。一方欧州通貨は、先々週はユーロは1.1214と2023年7月以来、ポンドは1.3434と2022年3月以来の高値を付けたが、その後、値を崩して予想通り1.1000割れとなった。今週もユーロは10月17日理事会での再度利下げ予想が高まると考え、その流れが続くと見て、対ドルは1.0850-1.1050と予想、また対円ではドル円上昇を受けて159.00-163.50円と先週よりもユーロ高を予想する。そして英ポンドドルは、今週は1.2950-1.3200と小幅ポンド安と予想する。
(2024/10/9、 小池正一郎)
FX・CFD・証券取引・外国為替のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-