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第314回 ~円は弱くない~ 

2018年11月14日

 米中間選挙から1週間たち、市場の目は、欧州に移ってきた。ユーロが約1年5か月ぶりに1.1300を割った(11/12)。イタリアが予算修正を拒否したとの報道を受けたものだ。英国のEU離脱草案に合意、との報で一時的に1.13台を回復したが、今日はまた1.12台に逆戻り。このユーロの下落スピードは筆者の予想外のテンポだ。ユーロに対する不安は簡単には解消されないと見た方がよさそうだ。

 それに、原油の急落―というより暴落―にも驚いた。昨日(11/13)は、OPECが需要見通しを下方修正したことを契機に、一日の値幅で8%余りの下落(WTI先物ベース)となり、約1年ぶりの54.76ドル(1バーレル)を付けた。10月初めから6週連続で陰線となり、合わせて28.8%下がったことになる。

 そのような中で、ドル金利は低下し、株価も下落している。これまでであれば、ドル円も下がってもおかしくない。しかしここ1週間は114円ばさみの狭いレンジで推移し、ある意味ドル堅調、円は弱いままという相場展開となっている。このような状態がいつまでも続くわけにはいかないとすれば、ドルの強さが優位になるか、円の強さが優位になるか、により、ドル円は動いていくということになる。

 そのカギは、三つの高さの重さを推し量ることで方向性が予想できる。その高さとは、信用性、成長性、利殖性である。結論から言えば、米国の勝ちである。中間選挙が終わり、米国の政治の不透明感が薄まり、成長率にも米国は圧倒的な強さがある。金利差は言うに及ばず、資金は必然的に米国に流れることになる。合わせて、米国企業のリパトリ(海外から米国への還流。現行35%から15.5%か、より流動性の低い資産は8%への減税)によるドル買いも続いている。

 一方日本円は、今年年初と比較すると、ほとんどの通貨で円高である。年初の円相場は、例えば、ユーロ135円台、英ポンド152円台、豪ドル88円台。それに対し現在は、ユーロは128円台、英ポンドは47円台、豪ドルは81円台と、円高である。クロス通貨が円より弱くなっているとも言え、決しては円は弱い通貨ではない。

 そこでドル円に目を移すと、クロスとドルの違いで言えるのは、成長率と金利差である。すなわちこの2点に日本が米国を逆転しない限り円は強くならないといえる。そこで気になるのが、米国の移民政策である。人口が減少し始める時が米国の成長が止まる引き金になるかもしれない。ただその時期はまだ先。ドル円の堅調推移は続くだろう。

 今後1週間の相場レンジとしては、ドル円は112.50円~114.50円、ユーロは弱含みで、対ドルでは1.1150~1.1350、対円では127.50~129.50円と予想している。
(2018/11/14,小池正一郎)


※当コラムは毎週水曜日の更新です(水曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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