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第406回 ~トランプの最後の逆転劇は奏功するか~

2020年10月21日

ドル円相場は105円を割り104.88円まで下落した(17:30現在)。1か月ぶりの安値水準である。11月3日の大統領選挙を控えて105-106円のレンジが続くと予想していたが、ユーロを中心としたクロスのドル売りが円にも波及し、ドル円も軟化している。重要な米景気指標である住宅着工は増加、米10年国債金利も0/8%台へ上昇と、通常ドル買い要因となる材料がそろっている一方、米株先物指数が若干軟調気味であることがドル下落の背景の一つになっているかもしれない。しかしそれだけでは説明がつかない。急に米大統領選挙結果に対する不透明さが高まってきたことが大きいのではないだろう。

選挙目前のこの時期、次期米大統領別にシナリオを立てて、取引が動き始めている。最近聞かれるのは、大統領、上院、下院とも民主党が勝利する、いわゆるトリプルブルーである。これは、世論調査で、民主党バイデン候補がトランプ大統領との差を広げ、勝利の確率が大きく高まった、との報がきっかけである。バイデン大統領の政策がドル高に結びつくとの予想が急浮上してきた。

しかし、ここにきてトランプ大統領が驚異的に盛り返しており、行方は混とんとしてきた。米大統領選挙が近づくにつれて市場にも緊張感が漂ってきた。トランプ大統領の逆襲に備えてのリスクオフ相場へのシフトである。ドル指数(DX)は、92.70割れまで低下、9月4日以来のドル安水準まで売られた。英EU間のブレグジット交渉が進展してきたことで、ユーロ買い、ドル売りが大きく進んできたことが大きい(ちなみにDXの通貨別シェアーで、ユーロは57.6%と半分以上。円は13.6%、ポンドは11.9%)。

そこで、再び注目されているのが、いよいよ明日22日午後9時(日本時間23日午前10時)から行われる2回目のトランプvsバイデンのTV討論会である。公式投票日は11月3日(火)で残り2週間だが、すでに郵便投票の形で事前投票が始まっており、全体の9割がたが投票先を決めていると言われている。しかし過去のケースでは、投票日直前まで決めず、直前までの実績や当選に向けての熱意で決めるとの調査もあり、このTV討論会次第では、一気に流れが変わることもありうる。

一方、選挙戦では、接戦州が激戦州となり、毎日それら州の支持率の変動状況が大きく注目されてきた。特に前回2016年に共和党が3期ぶりに勝利した、フロリダ州(代議員数29)、ペンシルバニア州(同20)、オハイオ州(同18)、アイオワ州(同6)の票が重要だ。ここにトランプ大統領が集中して選挙演説を行っており支持率が上昇、これまでバイデン候補が約10ポイント上回っていた差は3~4ポイント差に縮小している。オハイオ州では逆転した(支持率は10/20現在で、リアルクリアポリティックス調)。選挙の仕組み上、わずかの得票差でも上回れば代議員すべてが勝者の割り当てとなる”全取り(Winner All Take)” なので、これら州の結果が、最終的に当選者を決めると言っても過言ではない。トランプ大統領は、この手法で前回、逆転当選を決めたので、今回は前回以上に訪問回数を増やすなど、力を入れている。

今後1週間の予想レンジは、総じて米ドル安で推移しよう。ドル円は先週より円強含みの104.50~106.00円(過去1週間は105.04 - 105.75円)。またユーロは先週に比べ大幅アップの1.1775~1.1975(同 1.1688 - 1.1850)、対円では先週と同じく123.50 ~125.50円(123.02 - 125.00円)。英ポンド/ドルについては、今後のブレグジット交渉の進展を期待して、前週よりポンド高の1.2850~1.3100(同1.2862 – 1.3024)とする。
(2020/10/21, 小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。


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