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為替大観

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第245回 ~トランプ大統領の帰国待ち~

2017年05月24日

 異端大統領と言われるトランプ氏の周りが騒がしくなってきた。弾劾罷免の可能性が出てきたからだ。支持率も昨年11月19日以来初めて40%を割れた(不支持率は55.2%に上昇、2017/5/20現在、Real Clear Politics)が、本人はどこ吹く風とばかりに、中東を訪問、週末にはイタリアのG7サミットに参加する。一方で大統領不在で予算教書が発表され、コミン前FBI長官の議会証言の日程も来週月曜日の休日明けに実施することに固まってきた。

 弾劾裁判については、唯一、17代のアンドリュー・ジョンソン大統領の例(1868年)があるが、最終的には上院で1票差で否決された。またニクソン大統領はウォーターゲート事件で弾劾の可能性はあったが、裁判を行うかどうかの審議前に自分で辞職した(1974年)ので、弾劾裁判は行われていない。調べてみると、病死で4名、暗殺で4名、辞職で1名、任期途中で職を終えた大統領はいるが、弾劾で職を失った者は歴代大統領の中で一人としていない。今回それ以来の出来事になる可能性が出てきた。

 このため、為替相場は先行きの見えない米国政治動向にリスクオフの構えを続けている。今日は1週間ぶりに112円台に乗せた円ドル相場だが、なかなか定着するようには見えない。それだけ参加者はドル買いに自信を持てない地合いだ。これには、チャート的に112円前半に固まっているポイントを意識していることも影響していると思える。

 過去3年のフィボナッチで見ると半値は112.40円、そして移動平均線でも、短期(21日線)、中期(89日線)がともに112.30円近辺にある。ドルが買い上げられるには、明確にこのポイントを越えなければならない。今日、前回(5月2,3日分)のFOMCの議事要旨が発表されるが、6月の利上げを示唆するような議論がなされていることを確認すれば、ドルは強調地合いに転じる可能性があるが、利上げに慎重な意見が出ているようだと、110円台への下落もある。

 昨日発表の4月新築住宅販売の動向(予想の前月比+0.5%に対し、マイナス11.4%、ただし前年同月比では+0.5%)で見られるように最近の米国景気動向は必ずしも安定的ではないこともドルを買い進めていくことにブレーキをかけている。前回のリセッション(リーマンショックを挟んで2007年12月~2009年6月)からすでに約8年経過し、景気の息切れを懸念する見方があることもその背景の一つだ。

 ドル指数が、トランプ氏が大統領に決定した選挙直後の水準に戻り、いわゆるトランプラリーで買われた分をすべて吐き出したことから言えば、今まさにどちらかに進むか決める分水嶺に差し掛かっているといってよい。ただ、増益基調の企業業績を背景に株価が堅調であることや、景気指標も1カ月だけの判断だけでは刹那的との考え方で、ドルが一気に崩れることにはならないとの見方も多い。筆者もそう思う。

 今後1週間の相場レンジは、ドル円は111.00-113.00円のレンジ相場を予想。一方ユーロは、政治的な懸念材料が後退したことや、ECB(次回理事会は6月8日予定)が金融緩和を打ち止めするのではないかとの思惑を材料に大きく上昇。加えて短期(21日線)が超長期(300日)線も上抜けたことで、今後のユーロ上昇のシグナルが出てきたとも考えられる。ただ、急すぎる上昇(12日間で約4%上昇)の反動もあると考え、短期的には対ドルでは1.1050-1.1250、ユーロ円は123.50-125.50と予想する。
(2017/5/24、小池正一郎)

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プロフィール

  • 著者近影 小池 正一郎(こいけしょういちろう)
    グローバルマーケット・アドバイザー。1969年日本長期信用銀行(現・新生銀行)入行後、資本市場部長、長銀証券常務などを歴任。1998年よりUBS銀行外国為替本部在日代表、シティバンク・プライベートバンクを経て、2006年より2015年6月までプリンシパリス.日本代表(国際金融政治情報コンサルティング会社、本部英国ロンドン)。外国為替コンサルタント、ファイナンシャル・プランナー(CFP(r)認定者)。ブログ執筆中(牛誰人のブログ・小池正一郎の世界経済大観)。新潟県出身(関川村ふるさと大使)。

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