まず、先週予想した「一時的なドル下落の暗示」、についての振り返りであるが、現在は実現していない。それどころか先ほど160円を超えた。既に欧州市場が始まっているので、「新値は新しいレンジの最安値」と考える海外市場の特性を考えれば、介入がなければ、一気に162円を狙う動きがでる可能性がある。
筆者の考えでは、3度目のエスカレーター(ゆっくりとした着実なドルの上昇)の終点は、過去2回に喩えれば、乗り始め(6月5日、155.09円)から4.10円高い所となるので、先週末、遅くとも今週初めに到達したことになるので、その時点でエレベーターに乗り換えても(下落が始まっても)いいと考えた。このまま介入も入らずドル上昇が続けば、今回は計算通りにいかず目論見が外れることになる。ただ、ここに至れば、今はいつドルが下落してもいいタイミングになる、と言えることにもなる。
さて、ここで相場の先取りの話である。次回の日米決定会合は全く同日の7月30-31日の二日間と予定されている。ただ、時差の関係で、発表時間は、約半日日本が早い。7月会合では、6月会合でアナウンスされたが、日銀は国債購入額の減額、いわゆる量的引き締め(QT)の詳細方針を発表する。また植田総裁は、利上げを決める可能性もあると示唆している。
一方、米国FRBは利下げ方向で相場の展開が進んでいくと想定している。いずれの場合も、決定至るまでのデータによっては緊急性が異なってくると思われるが、方向性(日―引き締め、米―緩和)は揺るがないだろう。そこで、日々の情報で注意していくことは。ひとえにアメリカのイベント、データと考えている。
明日27日のGDP(第1四半期最終)は、バックミラーでみるようなものなので、前回改定値(+1.3%)とよほど大きな改訂にならない限り、相場に影響を与えることはないだろう。市場予想は+1.4%となっている。問題は、28日の個人消費支出(PCE)価格指数である。今回の予想はコア年率で、+2.6%、前月+2.8%(2月から3回連続おなじ上昇率)より低下の予想である。これが予想通りであっても、低下が現実になれば、利下げ論議も前倒しになるだろう。
そして27日には、米大統領選挙候補者のTV討論会がある。今回は現時点で候補者がすでに民主党・バイデン現大統領と共和党・トランプ前大統領とほぼ確定しているので、いつもとは違い、、各政党の全国大会前に実施される。時間はNY時間午後9時だ。(日本では翌日朝10時になるが同時中継されると期待している)。今回は視聴者なし、おつきなしの1対1のガチンコ討論となるので、両者の年齢にかかわる言動には、よくよく注目が集まるだろう。
そして30日には、フランスの国民議会(下院、定数577)の一回目の投票がある。最終的には2回目(7月7日、決選投票)を待たなければならないが、明けて7月4日には英国議会下院の総選挙がある。今週末は政治からみの話題満載で、まさにディーラーの宿命の「24・7」に突入することになる。
さて、今後1週間の相場見通しであるが、ドル円は160円を超えたことで、158.50-162.00円とドル強含みの予想としたい。またユーロドルは、1.0600-1.0800と先週よりユーロ安を予想、対円では169.50-172.50と先週よりユーロ高円安と予想する。そして英ポンドドルはBOEが政策金利据え置きを決めたが、1.2600-1.2800と小幅ポンド安と予想する。
(2024/6/26、 小池正一郎)