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外貨投資 転ばぬ先の智慧

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第588回 「日銀だけが蚊帳の外」で円安傾向

2017年07月10日

 先週7日、ついにドル/円が一時的にも114円台を回復する動きを垣間見せた。
 先週は、3日に発表された米6月のISM製造業景況指数が約3年ぶりの高水準となったことを受け、週初から113円台半ばの水準を試す動きが見られていたものの、翌4日は米独立記念日の祝日に伴うNY休場で取引が手控えられたことに加え、北朝鮮が米記念日に合わせてミサイル発射実験を行ったこともあり、ドルは一旦伸び悩む場面もあった。
 とは言え、前回の本欄でも注目した31週線をドル/円が週初(3日)から終値で上抜ける動きとなった点からは強気の流れを十分に感じ取ることができたし、上抜け後は31週線が下値を支えるような格好となったことも印象的であったと言える。

 とまれ、先々週あたりから欧米の金融政策が引き締め(出口)方向に向かうとの観測が強まり、世界的に長期金利が上昇傾向を辿り始めていることは大いに注目される。そんななか、日銀だけがなおも金融緩和に軸足を置いており、いまだ「出口」からほど遠い状況にある(主要中銀のなかで日銀だけが蚊帳の外の状態にある)ことが、クロス円主導気味にドル/円にも強気の流れをもたらしていることは間違いない。
 欧米の長期金利が上昇傾向を辿っていることによって、さすがに日本の10年債利回りも一時は0.1%台にまで上昇する場面を垣間見ることとなったが、周知のとおり、日銀は先週7日の午前に国債買い入れを発動することで一段の金利上昇に歯止めをかけた。日銀が「指し値オペ」と「国債買い入れ増額」を初めて同時に実施したことで、当然、市場は東京時間帯から円売りになびきやすいムードとなり、そうした流れを引きずったまま同日NY時間の米雇用統計発表のときを迎えた。

 米雇用統計について言えば、もはや非農業部門雇用者数(NFP)の伸びや失業率に対する注目度が一頃よりも大きく低下していることは明らかである。それらは景気後退局面から回復局面に至る(徐々に持ち直す)段階において注目されるものであり、すでに“ほぼ完全雇用”の状態にある米国に関しては、むしろ賃金や消費、物価などの情勢、つまりインフレ率への注目度の方が高いと言える。
 その点、6月の平均時給の伸びが前年同月比+2.5%であったというのは、必ずしもポジティブ・サプライズというほどではないが、一応は前向きに捉えていい数字と言えよう。 
 筆者の私見では、数カ月内にも米国の賃上げ率は年率で+3%超に到達する。何より重要なのは「米企業がどこで折れるか(?)」であるが、もはや全体としては限界ギリギリに達しているものと考えられる。このままでは、人手不足による倒産が相次いでしまいそうだ。よって早晩、米国伊の賃上げは本格化すると見られる。
 その点については、今週11日に米労働省から発表される5月の『米求人・労働異動調査』の結果をあらためて確認しておきたい。ちなみに、前回(4月)の「求人」件数は過去最高を更新した。

 先週7日に一時114円台を垣間見たドル/円は、その時点で3月高値と5月高値を結ぶレジスタンスラインをクリアに上抜けた。かくなるうえは、次に5月高値=114.37円が意識されやすくなるものと思われる。同水準をも上抜けてきた場合には、4月安値と5月高値、6月安値を元に弾き出される「N計算値」=115円処が次に視野に入ってくることとなろう。言うまでもなく、115円処は重要な心理的節目でもあり、年初から幾度も強く意識される場面はあった。それだけに、115円近辺では一旦上げ一服となる可能性もあるものと心得ておきたい。
(07/10 09:15)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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