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第682回  市場のリスクオフ・ムードは大きく後退

2019年09月09日

 先週4日以降、国際金融市場では全般にリスク警戒ムードが緩んだことで米・日の株価は大幅に上昇。同時に、ドルに対してユーロが買い直される一方、円が売り直される展開となった。NYダウ平均に至っては、先週5日に大きく「窓」を開けての上昇となり、翌6日には一時26860ドルまで上値を伸ばすという、あたかも今年7月に連日のごとく史上最高値更新を続けていた当時のようなレベル感を取り戻してきている。

 おさらいしておくと先週4日、まず香港政府が「逃亡犯条例」改正案の撤回を正式に表明し、ひとまずは先鋭化していた抗議デモ参加者と警察とのせめぎ合いも沈静化するとの期待が拡がった。また、イタリアでは左派「五つ星運動」と中道左派「民主党」による連立政権が発足し、とりあえず伊政局は一時的にも小康状態となった。さらに、英国では「合意なき(EU)離脱」を阻止する離脱延期法案が下院で可決し、首相の解散提案も不発に終わった。また、米中両国が閣僚級貿易協議を10月に開くことで先週5日に合意したことも、市場のリスク回避ムードを大きく後退させることに十分貢献している。
 いずれのケースも、ともに目先的な弥縫策が講じられたに過ぎず、今後もまだまだ紆余曲折は避けられないものと見られる。ただ、少なくとも先週2-3日あたりの「まさに陰の極」と言えるような状況を一旦抜け出したことは十分に評価できる。
 その実、先週30日以降に一旦1.1000ドルを下抜ける動きとなったユーロ/ドルは、先週3日に一時1.0925ドルまで深押した後に反発し、4日の欧州時間入り後には1.1000ドル台を回復。5日には一時1.1082ドルまで値を戻す展開となった。 

 むろん、足下で生じているユーロ/ドルの戻りにも自ずと限りはあろう。それは、このほどイタリアで発足した連立政権が、いつまで持ち堪えるかわからぬ「偽りの安定」と認識されていることや、英政権が「合意なき離脱」へと突き進む可能性が完全に消えたわけではないこと、そもそも英議会が目指す離脱延期をEUが認めるかどうかは不明であることなど、ユーロ圏の行く手に待ち構える難題がいまだ山積であることによる。
 何より、米政権による対中制裁関税「第4弾」が発動されたことで、中国の景気減速が今後一層明らかなものとなれば、それはドイツ経済にとってかなりのダメージになると見られることが大きい。結果としてECBが掲げる今後の政策方針は、これまで想定されていた以上にハト派寄りのものとなる可能性が高いと見られ、当面はユーロの上値も押さえられがちとなろう。
 ドイツの財政出動に期待する声も市場では聞かれるが、これまで持て余す財政余力を大切に温存し続けてきた(頑なに緊縮財政方針を貫いてきた)同国が、いよいよそれを使わざるを得なくなる頃には、もはや手遅れということになるのではないか。
 よって、そう遠くない将来、ユーロ/ドルが再び1.1000ドルをクリアに下抜ける場面が訪れることは避け難いと個人的には考えており、その場合、当座の目線は1.0800ドル処の重要な節目水準まで下がると見る。

 一方で、ドル/円は先週5日以降、107円台に乗せる場面が幾度もあり、まさに107円の節目付近の攻防といった展開になっている。これまで、長らく同水準が強い上値抵抗として意識されてきただけに、ここでクリアに上抜けるかどうかは非常に大きい。
 もはや、次回FOMC前のブラックアウト期間入りとなり、当面は手掛かり材料も限られてくるが、もはや「今回の利下げ幅は0.25%に留まる」との見方が徐々に拡がってきている模様であり、それはドルを下支える一因となろう。また、ドル/円は一目均衡表(日足)の遅行線が日々線を上抜ける展開となってきており、少なくともテクニカル的には買われやすい状態となってきている。
(09月09日 08:55)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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