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第675回 行き過ぎた米利下げ観測の修正がジワリと始まった…

2019年07月08日

 前回更新分の本欄でも述べたとおり、6月初旬以降に市場で拡がった米利下げ観測は「かなり行き過ぎだった」と言っていいものと思われる。実際、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は6月下旬に「金融政策は短期的なセンチメントの変動に過剰反応してはならない」と発言していたし、ハト派の急先鋒として知られるセントルイス連銀のブラード総裁も「50bpの利下げはやりすぎ」と述べていた。
 もちろん、6月29日に米中首脳会談が大阪で行われるまでは、万一の交渉決裂というテールリスクにも一応は備えておかざるを得なかった。とはいえ、結果的には協議再開が決まり、少なくとも目先の“脅威”はなくなったわけであるから、本来なら7月1日以降は、もう少しすみやかに市場が米利下げ観測の「行き過ぎの修正」に傾いてもおかしくなさそうなものであった。しかし、実際にはそうは問屋が卸さなかった……。
 むしろ、7月2日のNY時間以降、米10年債利回りは2%割れの水準での推移をしばらく続けた。結局、市場がようやく「行き過ぎの修正」に動いたのは、週末5日に発表された6月の米雇用統計の総じて強い結果を受けてからである。
 この結果が伝わるまでは、CMEの「フェドウオッチ」において、7月下旬に行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpの利下げが行われる確率は30%ほどであった。そのこと自体、とても信じがたいことだったわけだが、今度は6月の米雇用統計という「たった1回(1カ月)分の結果だけ」を受けて同確率が5%前後にまで低下したという。俄かに信じがたいことではあるが、これも「一つの現実」と理解するよりない。

 なお、6月の米失業率が前月よりも若干上昇したのは、お分かりのとおり、同月の米労働参加率が上昇したためであり、これはポジティブなデータと言える。なかには、賃金の伸びに以前のような勢いが感じられないとか、インフレ率がなかなか上向いて来ないなどといった点をネガティブに捉える向きもないではないが、それは「足下で経済社会のデジタル・エコノミー化が見る見る進んでいることに因る部分が大きい」ということもあらためて理解しておくことが肝要だ。
 つまり、少なくとも6月の米雇用統計の各結果は非の打ちどころのないものであったと言え、市場でも「米景気の堅調さが確認された」、「米景気の力強さが示された」などと概して高く評価するコメントが目立っている。繰り返すも「たった1回分の結果だけ」で判断することなど本来あってはならないのだが、市場のことであるだけに今週以降少し流れが変わるかもしれない。6月初旬にパウエルFRB議長が講演で「適切に行動する」と述べた、その時以来の流れに多少なりとも変化が生じる可能性は大いにあろう。

 さしあたり、ドル/円は再び21日移動平均線を上抜けてきた点が何よりインパクト大である。これは、同時に4月下旬以降に形成されてきた下降チャネルから上放れるということでもあり、基本強気のシグナルである。さらに、一目均衡表の日足の「遅行線」が日々線を下から上に突き抜けるという強気のサインにも注目したい。
 目先は6月11日高値の108.80円処が意識されるが、同水準を上抜ければ109円台半ばあたりまで上値余地を拡げる可能性もあると見られる。先週1日に公表された6月の日銀短観によれば、大企業・製造業は2019年度の為替レートを109円台前半の水準と想定しており、実際のレートが同水準を超えてきた場合には日本株の上昇も期待され、そのことと相俟ってドル/円が一段の上値を試す可能性が高まると見ておきたい。
 なお、ユーロ/ドルに関しては前回更新分の本欄で「一旦戻り一巡となる可能性が高い」と予想した。そして案の定、ユーロ/ドルの上値は週足「雲」下限や62週移動平均線などに押さえられ、足下では日足「雲」上限のサポートまで切れてしまった。なおも、ユーロを積極的に買い上がる材料には乏しい。
(07月08日 08:45)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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