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第633回 市場の関心は一旦ファンダメンタルズに戻る!?

2018年07月09日

 先週5日、6日のNYダウ平均は2日続伸で計281.66ドルの上昇を見た。このこと自体が足下の市場のムードを如実に映し出していると言えよう。
 周知の通り、米大統領は先週6日に予定通り、対中制裁関税の第1弾を発令。対する中国も直ちに報復措置を講じるに至ったわけであるが、今のところ市場の反応は想定していたよりも落ち着いている。やや“不気味なまでに冷静”と言ってもいい。
 米中制裁関税が両国ならびに世界全体の経済にとってプラスの影響を及ぼすことはまずないと思われるが、どの程度のマイナスになるのかは正直まだよくわからない。「貿易戦争に勝者はいない」などと、利いた風なことを言ってみたところで何ら意味はなく、それぐらいは両国首脳も重々承知のうえであろう。
 巷では、いわゆる“トランプ流”のことを「囚人のジレンマ」などと分析、解説しているが、別にそれほど高尚なものでも高度なテクニックでも何でもない。先に、メキシコ国境から米国に不法に入国した移民とその子供を引き離すトランプ大統領の政策が、中間選挙を控える共和党にとって頭痛の種になりそうな雲行きになったときも、結局のところ「移民親子の引き離し」を大統領令で撤回する羽目となった。つまりは、単に“厚顔無恥”と言うより他にないのである。今さら言うまでもないが、要するにトランプ氏は終始ブレブレなのだから、市場もいちいち律儀に反応してばかりもいられないということなのかもしれない。

 とりあえず、市場のムードはあらためてファンダメンタルズ重視に回帰する可能性が高いと見られる。「その証拠に…」と言うほどではないのだろうが、先週6日に発表された6月の米雇用統計の結果が事前予想をやや下回ったことを受け、対円&対ユーロでドルは一旦売り物がちとなった。
 もちろん、今回の米雇用統計の結果は今後の米金融政策にさほど大きく影響するものでもないと思われ、あくまで基本は「米利上げが年4回となる可能性は十分にある」という前提で、今しばらくドルの下値は買われやすいといった状況が続くと見られる。
 ドル/円については、まず目先的に21日線(現在は110.36円に位置)のサポートを意識しながら、仮に一旦下抜けても次に200日線のサポートが利いてくるとみて、基本は押し目をキメ細かく買い拾う算段で臨みたいと考える。
 また、前回更新分の本欄でも述べたが、やはり何より今注目しておきたいのは「ドル/円が2015年6月から形成していると考えられる『トライアングル』の上辺(2015年6月高値と昨年11月高値を結ぶレジスタンスライン)ブレイクに挑戦するか否か」という点であると考える。
 今週は、その水準が111円台前半の水準にまで下がってくると見られることから、場合によっては、そろそろ同水準を上抜ける展開を目の当たりにするかもしれない。結果として。ここでトライアングルをクリアに上放れるとなったならば、正直、そのインパクトはかなり大きい。実のところ、ドル/円は5月半ば以来長らく昨年11月高値から今年3月安値までの下げに対する61.8%戻しの水準=110.87円処で上値を押さえられ続けているが、同水準をクリアに上抜けて来れば次は76.4%戻し=112.35円あたりを試す展開になって行くと見られる。

 一方のユーロドについては、前回更新分の本欄で「ひとまずは、6月26日高値=1.1720ドルあたりが目先的な戻りの目安になる」などと述べた。実際には、想定以上に強い戻りとなっており、足下では一目均衡表の日足「雲」下限(現在は1.1737ドルに位置)を試す展開となっている。目先は、この日足「雲」下限あるいは1.1800ドルの節目あたりで上値が押さえられるかどうかを見定めたい。
(07月09日 09:10)


※当コラムは毎週月曜日の更新です(月曜日が祝日の場合は休載となります)。

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

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