最初から手前みそになってしまうが、先週の予想はかなり的確であった。毎週結果の復習をしているが、今回のように、市場が思ったとおりに動いてくれたことは、いつもあることではない。しかし、相場と対峙している者にとって、相場の座標軸を作ることを欠くべきことではないことを改めて確認した思いであった。予想とは、シナリオがあってできるものであって、それが座標軸である。
「売買にはシナリオがあって初めて可能になること、シナリオ通りに進んだ場合は、利乗せに進める。異なった動きが出れば、躊躇なくポジションを閉じる。運よく利益があっても即、退出すること」。これが筆者がヘッジファンドの友人から教えられたことだ。これまでの経験から、的中率は55%と言っている。しかしこれが1勝9敗でも勝てる秘訣である。これが守られなければ9勝1敗でも結果損失となる。言葉を変えていえば、狩猟民族ディールは前者、農耕民族ディールは後者である。筆者が、為替市場の第一線で売買していた時学んだことだ。
ところで、予想と結果の突合せをしたい。最初のカッコ内の相場が予想(先週実施)でその後の相場が実績(10月23日~10月30日午後5時30分)である。ドル円は(予想149.80-153.80円)で実績151.13-153.87円、ユーロドル(1.0650-1.0900)1.0761-1.0839)、ユーロ円(163.00-166.00円)163.17-166.08円、ポンドドル(1.2780-1.3020)1.2887-1.3020である。的中率を細かく計算はしていないが、実際の数字だけでも、今週はドル円の高値、ユーロ円レンジ、ポンドドル高値はピッタリという感覚である。
50年以上為替生活をしていればある程度の感覚は身に付く。しかし現在の為替市場は人間の相対市場でなく、ビッグデータを使った機械(WEB)市場とみている。筆者の予想手法は、特に海外情報を丹念に拾うことでビッグデータを類推し、狩猟民族ディール手法を加味して相場をはじき出すことだ。時間のかかる仕事であるが、頭の体操にはとても良い。
さて、今日からの一週間、重要なイベントが続く。米国経済指標もあるが、何よりも来週11月5日の米大統領選挙投票日には、今後の為替市場の方向性を決めることになるので、特に、勝敗のカギを握っている接戦7州の結果からは目が離せない。最終結果は日本時間で11月6日となろうが、、多くのマスコミもライブ中継を行う予定で世界中が注目しており、これまで以上に市場が乱高下する可能性が高いと覚悟している。
それでも、今はドル堅調に進んでいる。ドル高要因、円安要因が絡み合って150円以上のドル高が続いている。10月17日に8月1日以来の150円台に突入してから、大きなセルオフもないまま153円台まで上昇、今や154円は目の前、チャート的には次は156円乗せが見えている状態である。
まずドル高要因だが、最終的には、FRBの金融政策に帰結するが、その背景にあるのは、米国景気の底堅さである。昨年から今年前半にかけて取りざたされた「米国リセッション入り」はもはや雲散霧消状態、今やノーランディング(景気は落ち込むことなく成長が続く状態)のシナリオが急浮上している。すなわちこれから金利は大きく下がらないとの予想が増えている。日米金利差が再拡大している。昨日米10年債は今年7月5日以来の4.33%台に上昇、9月17日の3.599%を底に、米10年債利回りは往って来いとなっている。一方ドル円は昨29日に153.87円まで上昇、7月30日(当日高値155.20円)以来のドル高であり、9月16日(安値139.58円)を底値として、同じように往って来いとなっていることに注目しておきたい。
そして、円安要因は、日銀の緩和維持姿勢の金融政策の方向性に尽きる。明日の会合で決定される政策金利は0.25%の現状維持の見通しだが、同時に下期の展望レポートが発表になり、成長率、物価上昇率の日銀見通しも明らかになる。声明文や会合後の植田総裁の記者会見で、今後の政策決定プロセスや判断材料が明らかになるかどうか注目していきたい。
さて、今後1週間の相場見通しであるが、ド゙ル円は、150.80-153.80円とドル高基調継続と予想する。一方欧州通貨は、対ドルは1.0680-1.0880と先週並と予想、また対円では163.50-166.50とややユーロ高と予想する。そして英ポンドドルは、1.2850-1.3050の小幅ポンド高と予想する。
(2024/10/30、 小池正一郎)
FX・CFD・証券取引・外国為替のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-