1776年7月4日。アメリカがイギリスから独立した日である。年間11日(2021年に6月19日奴隷解放記念日が新たに制定)しかない米国の祝日の中で最も重要な祝日であり、全米こぞってアメリカの独立(誕生)を祝う。
筆者は200周年の1976年7月4日にNYに駐在していたが、花火が打ち上げられたり、NY港で帆船パレードがあったり、まさに「ハピー・バースディー」のお祭り騒ぎであったことが、いまでも忘れられない。今年は独立記念日が木曜日、金曜日を休めば4連休になる。この週末はお祝いムード一色になること想像にかたくない。アメリカは今日の午後から米国市場は閑散とした市場になるのではないだろうか。
しかし、為替市場は金曜日5日に重要な経済指標<雇用統計>が発表になる。今月は中央銀行の政策決定会合のある月、米国はFOMC(連邦公開市場委員会)が7月30-31日に開催され、利下げの可能性が消えていない(ちなみに日銀も同日)。市場関係者としては、世界の市場のうち休場は米国の7月4日のみであり、お祭り騒ぎに浮足だってはいられないのではないだろうか。
さて米国の景気データは数々あるが、中でも最重要な指標はこの雇用統計と、物価の二つである。(物価には、CPI:消費者物価指数<7/11>と、PCE:個人消費支出価格指数<7/26>の二つがある)。7月の決定には、これらの結果が強く反映されることは間違いないだろう。
その雇用統計の予想は下記のとおりである(カッコは前月実績)。
非農業部門雇用者数 (NFP):+19万人(27.2万人)
失業率 :4.0%(4.0%)
賃金(平均時給)<前月比>:+0.3%(+0.4%)
<前年比>:+3.9%(+4.1%)
市場予想は、先々月(+16.5万人)よりは増加するが、先月より減少と見ている。しかし今週2日に発表された求人件数(JOLTS)では予想以上に増加、労働市場は減速していないことが伺える。また、今日3日に先行指標となるADP雇用統計(民間部門)が発表されるが、予想は+15.5万人と前月(+15.2万人)より小幅上昇となっている。
一方、失業率は上昇中で、先月は2022年1月以来の4%となり、これ以上になると、連続4%の過去最長記録(28カ月)が途切れることになる。賃金の下落予想も気になるところであり、注目ポイントが多い。先月は、雇用者数の発表が予想(+18万人)を上回る数字となったことで、FRBの利下げは先送りになるとの見方が広がり、米金利上昇、ドル上昇となったことは記憶に新しい。個人的には、先々月の+16.5万人より落ち込まない限り、予想通りとの見方となり、ドルは底堅く推移するのではないかと予想している。
さて、ドル円は今日161.94円まで上昇、短期(21日)移動平均(158.40円前後)との乖離率も日に日に拡大しており、現在は2.2%を越えている。162円を超えてくると、介入への警戒が強まる可能性が高まるが、個人的には、よほど急激な円安が起こらない限りは介入は考えにくく、次の節目165円まで徐々に円売りが進むと予想している。その理由は、1)6月24日から始まった円安がエスカレーターアップ(徐々に円安)であること。2)円はクロス円で独歩安、毎日のように円安値が更新されており、グローバルに円の弱さが抜きんでていることである。
不必要な日本弱気論に陥りたくはないが、日本の突出している財政赤字(対GDP比)、国内投資の激減、原油高の進行による貿易赤字の拡大懸念、対外投資熱が高く円安を加速させている新NISAの増加など、円金利がゼロに近いまま続いていけば、救いようにない円相場になると危惧している。
さて、今後1週間の相場見通しであるが、ドル円は160円台が定着していく方向と考え、159.50-163.00円と予想する。またユーロドルは、仏選挙の決選投票を控えているが1.0600-1.0800と先週と同じと予想、対円では172.50-175.50円と先週より大幅なユーロ高円安と予想する。そして英ポンドドルは首相交代の可能性もあるが、極端な政局不安とはならないと考え1.2600-1.2800と先週と同じ予想とする。
(2024/7/3、 小池正一郎)