今月は、1年の中で重要な月の一つである。理由は為替相場だけでなく、国際金融、大きく言えば世界経済を動かす中央銀行が金融政策を決定する重要月であるからだ。日米欧を中心として主要な中央銀行は年8回、金融政策決定会合を開いている。最も有名で、影響力の大きいのは、米国FRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(連邦公開市場委員会)である。年8回のうち、なかでも3月、6月、9月、12月は、金融政策だけでなく、経済(GDP成長率、物価)見通し、政策金利見通し(日銀は1月、4月、7月、10月に経済見通し)が発表されるので、注目度が高い。
金利見通しは通称ドットチャートと呼ばれるが、FOMCメンバー(FRB理事+地方連銀12行総裁)が投票する、先2-3年の第4四半期と、長期(中立金利とも言われる)の政策金利の見通しグラフである。1票ごとに点(ドット)で示されて公表される。ちなみに前回の今年6月FOMCで発表された金利見通しは、2024年第4四半期の見通し金利は2024年末は5.00-5.25%、2025年末は4.00-4.50%であった。現在は5.25-5.50%なので、6月発表時点では、今年はあと1回(0.25%換算)、2025年は4回(同)の引き下げの計算となる。
しかしフェドウォッチ(FW、シカゴ市場で取引される先物短期取引から計算)によれば、市場はより多くの引き下げを予想、今年末を4.25-4.50%と見通している。年末までは残り3回、計1%の引き下げとなるので、今月も含めどこかで0.5%利下げがあるとの見方だ。現在のFWによれば、9月は0.25%利下げの確率が73%、11月に0.5%引き下げ(確率52%)、12月が0.25%強の引き下げ(同41%)である。CPI次第でこれからの利下げ幅が決まってくることになり、注目したい。
ところで、米金利低下が促進されると、日米金利差が縮まり、ドル円相場も円高が進んでいくことが十分に考えられる。そこで、為替相場の為替変動要因を確認しておきたい。為替相場の基本に即して言えば、需給関係である。実需であれ、投機であれ、買いたい人が多ければその通貨は上がる。売りたい人が多ければその通貨は下がる。
その代表的な要因は、これまでは金利であった。世にいう「高い所にお金が集まる」という言葉に尽きるが、その高さを測るとは、信用力(つぶれない)、成長力(元本が増加する)、運用力(キャッシュフローを生み出す力)となる。筆者の長い為替生活から、ドルがいつも主人公であった。歴史的に、米ドルが買われる通貨の第一人者の役目を担っていたが、米金利が低下する状況では、円高あるいはドル安の要因が優勢になると考えている。
一方で、短期的な相場を見ると、今月のドル円変動幅は6.50円余り、今年度に限って言えば最高は9.39円(4月)、最低は4.98円(2月)で、平均は7.80円。単なる数字と言ってしまえばそれまでだが、為替は数字の世界なので、個人的にはいろんな形で参考にしている。4月の円安は147.21円なので、平均値だけでも計算上は139.40円の円高が導き出せる。
そこで、今後1週間の相場見通しであるが、米国CPIや日米の政策決定会合を控えて、ドル円はやや広めだが139.00-144.00円を予想する。一方欧州通貨は、ユーロドルはECBの利下げ(預金ファシリティが0.25%の利下げ、メインリファイナンスと貸付ファシリティが0.60%利下げ)が予想されることから1.0900-1.1150を、また対円では155.00-160.00円と小幅ユーロ安を予想する。そして英ポンドドルは先週と同じ1.3000-1.3300と予想する。
(2024/9/11、 小池正一郎)
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