今週は、感謝祭の休日を明日に控えて、米国市場の実質的な取引は今日で終了。これまでの例でいえば、金融業界ではボーナスの最終査定も終わりにさしかかっており、主要ディーラーは今年度の最後の追い込みにかかっている時期だ。いよいよクリスマス休暇が始まる。
そんなさなかに起こった先週末からのドル売りの嵐。米金利の低下に加え、昨21日に住宅指標の中では中心的な指標である中古住宅販売が急低下したことで、ドル売りが加速、ドル円は147.15円とほぼ2カ月ぶりの円高となった。しかし、前回FOMC(10/31-11/1)の議事要旨の発表を契機に空気は一変、ドルの下落が止まり、上げに転じた。内容が予想に反しタカ派的な意見が目立ったことで、更なる引き締めも可能性として残っていることが分かったからであった。もっとも、先物市場では今後の引き締めは想定しておらず、2024年5月のFOMC会合から0.25%の利下げとなる確率が増加している。
このような相場展開において、クロス円でも大きな動きがあった。21日の円高時に、一時的に大きく他通貨安円高になったが、今日は、昨日の議事要旨を材料としてドルが反発(円反落)したNY市場の流れを受けて、ドル低下分のほぼ半値戻しとなった。具体的には、ユーロ円は、①円最安値(16日)164.31円→②161.25円(21日円高)→③162.90円(22日16:30現在)、ポンド円は、①(14日)188.29円→②184.46円→③186.47円、豪ドル円は①(15日)98.59円→②96.83円→③97.38円、スイス円は①(16日)170.53円→②166.55円→③168.47円という値動きである。円安は終わっていないと市場が語っているようだ。
ところで、FRBがデータを重視しているとの観点から注目された住宅関係指標であるが、昨日の中古住宅販売は以下の通り。年率換算で379万戸(前月比-4.1%、前年比では-14.6%)と5カ月連続の低下で、販売数はリーマンショック後の2010年8月以来の低水準と、予想(390万戸の増加)を大きく下回る数字であった。先週末の住宅着工戸数が137.2万戸と前月比+1.9%、2カ月連続して増加し、明るい兆しを期待にしていたことを考えれば、意外な数字といえる。ちなみにもう一つの販売数指標である新築販売は前月が増加(前月実績+75.9万戸、前月比+12.3%、前年比+33.9%)であり、27日の発表が注目される。
米国経済指標は、今週は、今日の耐久財受注(予想は前月比で、-3.2%、先月+4.6%)と失業保険新規申請者数(予想22.7万人、先週23.1万人)、ミシガン大学消費者信頼感指数(予想60.8、先月60.4)が予定されている。中央銀行関係でいえば、23日にスウェーデン中央銀行の政策金利の発表がある。前回0.25%引き上げ4.00%としたが、その流れが続くか注目している。一方24日には、日本で消費者物価指数が発表になる。世界的に日本の物価上昇に大きな視線が浴びせられており、特にコア(日本の統計ではコアコア指数:生鮮食品とエネルギーを除く総合指数、先月は年率4.2%)が注目されている。日本もデフレ時代は終わり、いわゆるジャパナイゼーションの終了を確認したいとの声が届いている。
そして来週は米国の注目指標発表が続く。27日に新築住宅販売、28日にS&Pケースシラー住宅価格指数、29日に第3四半期GDP改訂、そして30日にFRBが重視するもう一つの物価指数・個人消費支出価格指数(PCE)が発表になる。
そこで相場予想だが、ドル円は先週とほぼ同じく148.00-150.50円と予想、ユーロドルはユーロは堅調に推移するとみて1.0750-1.1000、対円は161.50-164.50円と先週と変わらず、そして英ポンドドルは1.2350-1.2600とポンド高を予想する。
(2023/11/22、 小池正一郎)