FX・CFD・証券取引のことならマネーパートナーズ -外為を誠実に-

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第905回 ドル/円の大幅が調整は「ひとまず一巡」?
外貨投資 転ばぬ先の智慧

最新の記事

第905回 ドル/円の大幅が調整は「ひとまず一巡」?

2024年07月29日

 少し振り返ると、今月18日にドル/円は一目均衡表の日足「雲」下限の水準を試したところで下げ止まり、一旦は157円台後半まで切り返す動きを見せた。個人的には「もう少し戻りを試す動きが続くのでは」と考えていたが、現実はそう甘くなかった。
 23日に、あらためて日足「雲」を下抜ける動きとなり、翌24日には18日安値をも下抜けたことで、むしろテクニカル面での下支えが失われ、積み残されていた円ショートの巻き戻しが加速したうえ、新規に売りで参入する向きも現れた模様である。
 その結果、25日には一時的にも152円割れの水準まで下値を試しに行く場面もあったわけだが、同日の日足ロウソクは長い下ヒゲを伴う「下影陽線」となり、11日を起点としたドル/円の大幅な調整局面は「ひとまず一巡した」との感が強まっている。
 ちなみに、直近(25日)安値の水準というのは、5月3日安値=151.86円や200日移動平均線(200日線)が位置するところにも近く「非常に重要な節目であった」という点は何より見逃せない。また、同日の終値が154円近辺まで戻ったことで、それを反映する日足の「遅行線」は日足「雲」を下抜けずに済む格好となった。つまり、テクニカルに下げ止まる要素がここにもあったということである。

 既知のとおり、11日以降のドル/円の調整は本邦当局による円買い介入観測に始まって、その後、トランプ前米大統領によるドル高けん制発言などが加速させる格好となったわけだが、先週の一段安については今週行われる日銀金融政策決定会合(日銀会合)の結果に対する警戒が強まったという点が大きい。
 9月下旬までに自民党総裁選が実施されることを踏まえ、次期総裁候補とされる人たちのなかから「円安(≒物価高)対策としての追加利上げ」を求めるような(国民ウケが良さそうな)発言が飛び出していたことも市場をざわつかせていた。
 一部の市場関係者からも追加利上げの実施決定を予想する声は聞かれていたが、そうした見方をする向きは3割程度に留まると伝わる。有力視されているのは「今回、利上げについて協議はするものの、今回の実施決定はない」という見方で、国債買い入れの減額については「2年後に月間3兆円程度にまで減額される」との見方が基本路線となっている模様。その通りの結果となれば、すでに市場も織り込んできており、むしろ一部で燻る追加利上げ期待に伴う円買いの流れが一旦巻き戻される可能性もあると心得ておきたい。

 もちろん、追加利上げの実施決定が見送られても、植田総裁が会見の場で「9月利上げ」にオープンな姿勢を示す可能性は十分にあると見られる。その場合、市場は一旦円買いで反応する可能性もあるが、ほどなく米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が明らかとなることも事実で、ここは基本的に様子見で臨むのが賢明ということになるのだろう。
 すでに市場は9月米利下げの可能性を9割程度織り込んでいる模様だが、FOMCで「その可能性をどの程度示唆してくるか」はまったくの未知数であり、その“示し方”によっても市場の反応は異なると心得ておかねばなるまい。

 一方、ユーロ/ドルは先週24日、25日の終値がそれぞれ1.0839ドル、1.0845ドルで、想定していた通り、6月安値から今月17日高値までの上げに対する38.2%押し(=1.0840ドル処)の節目で一旦下げ渋る格好となっている。
 インフレの落ち着きを示す米指標の発表が続いているなかで、基本的にユーロ/ドルは底堅い動きとなっている。FOMCの結果次第では1.0870-1.0880ドル処を試す動きとなる可能性もある。ユーロ圏のインフレには粘着性があるものの、景気減速傾向が強まっていることも事実で、当面は戻り売りのチャンスをうかがいたい。

(07/29 07:40)

このページの先頭へ

このページの先頭へ

プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。

FX取引(外国為替証拠金取引)、商品CFD取引、証券取引、および暗号資産CFD取引(暗号資産関連店頭デリバティブ取引)に関するご注意


【パートナーズFXおよびパートナーズFXnano】
パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。パートナーズFXおよびパートナーズFXnanoの取引に必要な証拠金は、取引の額の4%以上の額で、証拠金の約25倍までの取引が可能です。法人コースの建玉必要証拠金金額は原則、一般社団法人金融先物取引業協会が算出した通貨ペアごとの為替リスク想定比率を取引の額に乗じて得た額とします。為替リスク想定比率とは、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。但し、一般社団法人金融先物取引業協会が為替リスク想定比率を算出していない通貨ペアにつきましては、一般社団法人金融先物取引業協会と同様の算出方法にて当社が算出した為替リスク想定比率を使用しております。取引手数料は無料です。なお、外貨両替については1通貨あたり0.20円、受渡取引については1通貨あたり0.10円の手数料をいただきます。

【CFD-Metals】
CFD-Metalsは、取引時の価格またはスワップポイントの変動、およびスワップポイントは支払いとなる場合があることにより、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。CFD-Metalsの取引に必要な証拠金は、取引の額の5%以上の額で、証拠金の約20倍までの取引が可能です。

【証券】
国内上場有価証券の売買等に当たっては、最大で約定代金の2.75%の手数料(消費税込み)、最低手数料は取引形態等により異なり最大で2,750円(消費税込み)をいただきます。有価証券のお預りが無く、一定期間証券口座のご利用が無い場合等は、別紙 ①「手数料等のご案内」に記載の 証券口座維持管理手数料1,100円(消費税込み)をいただきます。国内上場有価証券等は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等および有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を含む)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)があります。

【暗号資産CFD】
暗号資産は法定通貨(本邦通貨又は外国通貨)ではなく、特定の者によりその価値を保証されているものではありません。暗号資産は、代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済に使用することができます。暗号資産CFDは、取引時の価格の変動により、売付時の清算金額が買付時の清算金額を下回る可能性があるため、損失が生じるおそれがあります。また、証拠金の額以上の投資が可能なため、その損失の額が証拠金の額を上回るおそれがあります。売付価格と買付価格には差額(スプレッド)があります。暗号資産CFDの取引に必要な証拠金は、取引の額の50%以上の額で、証拠金の約2倍までの取引が可能です。取引にあたり、営業日をまたいで建玉を保有した場合にはレバレッジ手数料が発生します。

取引開始にあたっては契約締結前書面を熟読、ご理解いただいた上で、ご自身の判断にてお願い致します。

〈商号〉株式会社マネーパートナーズ(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
〈金融商品取引業の登録番号〉関東財務局長(金商)第2028号
〈加入協会〉日本証券業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 日本商品先物取引協会 一般社団法人日本暗号資産取引業協会

このページの先頭へ

FX(外為取引)・証券のマネパHOME > マーケット情報 > FXコラム > 外貨投資 転ばぬ先の智慧 > 第905回 ドル/円の大幅が調整は「ひとまず一巡」?