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市場養生訓

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第663回

2017年03月21日

 ドルのセンチメントが変わったようだ。先週のFOMCの利上げ決定を機にドルはヘタレ気味だ。

 市場ではFOMCの前に急速に利上げ機運が盛り上がった。FOMCのメンバーは昨年12月の利上げ時に今年の利上げを3回と見ていたが、市場ではせいぜい2回との見方が多かった。一昨年も同様で金融市場の参加者は中央銀行よりも利上げに対しては慎重な見方が多かった。

 それが今回の利上げの前あたりから市場の見方がFOMCの見方に近づいていった。3月の利上げはもちろんのこと、4度の利上げの可能性も25%ほどに急増した。これはフェドファンドの先物レートから推計した可能性だ。

 だが今回FOMCのスタンスは昨年12月と変わらず、市場の利上げが加速するのではないかとの期待は肩透かしを食った。

 今週はFEDの議長のイェレンなどFEDの関係者の講演が予定されているので注目されるが、先週の声明の範囲内で補足程度にとどまると思われる。

 こうした冴えないドルは一方でトランプ新政権の政策に対する期待がはげ落ちている表れでもある。通商政策などでの政権内の矛盾、議会での政策実現性などが就任直後のトランプ相場の維持を難しくしている。

 為替市場では特にメキシコペソやブラジルレアルなど新興国通貨に状況が明確に反映されている。ペソはトランプ大統領就任後に1ドル22台まで下落したが、その後は戻り基調を辿っている。直近では19台を切ってきた。大統領就任前の水準に近づいている。

 レアルは12月に3.5台を付けたが、その後はレアルが上昇し、直近では3.07台とドル安レアル高になっている。これにはブラジルの中央銀行の総裁がG20で発言したようなブラジルの国内要因も反映している。ブラジルは最悪のリセッションを脱し、今年の第四四半期までに3%の経済成長を達成するとの発言だ。にわかに信じがたい強気な見方だが、回復基調にはあるだろう。

 一般的に中南米では伝統的に米ドル志向が強く、金融機関も個人もドル資産を好む傾向がある。そのため為替レートはドル要因に反応しやすい。にもかかわらず為替レートが中南米通貨高傾向にあることに、現在のドルのもろさが隠されている。

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プロフィール

  • 著者近影 小口 幸伸(おぐちゆきのぶ)
    1950年生まれ。通貨・国際投資アナリスト。 元ナショナルウェストミンスター銀行国際金融本部長。 横浜国立大学経済学部卒業後、シティバンク入社。変動相場制移行後間もなく為替ディーラーとして第一線で活躍。シティバンクのチーフディーラーとなる。その後ミッドランド銀行為替資金本部長を歴任。

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