米国株式相場が急落したことを受けて、日本でも株は暴落した。金融市場は風雲急を告げてきた。ドル円も今週初め147円台に乗せたのもつかの間、今日は一時145円割れまでドルは下落した。「日本は金利も上がるし、観光客も押し寄せて景気もよさそうだ」と、日本企業への買収の動きも目立つようになり、円に資金が流れてきていることを感じる。
さあ「相場秋の陣」の始まりだ! 個人的な年末のゴールは、ドル円136円である。
さて、アメリカでは9月第1月曜日は特別な祭日である。その日をもって夏休みは終わり、バック・ツー・スクールとも呼ばれるが、翌日(すなわち火曜、昨日3日)からはその年の最後のまとめ(追い込み、決算、区切りなど)に入る。10年近く米国に住んでいた身としては、新年明け1月2日の米国市場と同じ感覚となる。
欧米ではクリスマス休暇が日本でいえば正月休暇となり、休みは1月1日のNew Year’s Dayで終わり、1月2日からは休み気分は全くなし、朝早くから通常通りに始まり、ディーラーは頭をまっさらにして勝負に出る。昨日のNY市場は、そんな空気が市場を覆っていたと想像に固くない。折しもほぼ10日前にはパウエル議長の利下げ開始の号砲がなった。金利低下を株高の力とするのでなく、景気後退(→企業業績悪化)に結びつけたことで、株下落の引き金となった。
株式市場を中心に「セル・イン・メイ(Sell in May、5月に売れ)」と言う格言があるが、この後に「9月に戻って買い直せ」との言葉があることは周知のとおりである。専門誌はこぞって、この言葉のバックデータを取り上げているが、9月は確かに「相場は下落する傾向が強い。世界全株式に投資するファンドMCSIの業績を調べた記事があったが、過去5年の月間騰落率では、9月が-4%と一番下落率が大きい。9月に買うとそのあと利益のチャンスが多い(過去の統計的、経験的だが)」、ともいえる。同じ調査では、10月+1.6%、11月+5.7%、12月+2.5%と上昇している。今年は米大統領選挙があるので一概には言えないが、参考にしたい数字である。
ではドル円ではどうなっているか? と思い、調べてみた。簡便法だが、9月末(買)と12月末(売)を比較したものだが、過去2年は2連敗、過去5年でも2勝3敗である。より厳密に統計を取れば違う結果もあるかもしれないが、特にアノマリーになるような結果ではないと自分では結論付けた。やはり常日頃の市場観察、訓練、経験が大切であろう。
今月は中央銀行の政策決定会合の月である。特に、米国FRBの決定に大きな影響を及ぼすであろう米経済指標を下記にまとめた。昨日はISM製造業景況感があり、総合指数は先月(46.8)より改善したが、予想(47.5)より悪い47.2であった。そのため市場の失望感からドルは下落した。
指標 市場予想 (先月実績)
4日 JOLTS (求人数) 810万人 (818.4万人)
貿易収支 743億ドル赤字 (731億ドル赤字)
ベージュブック
カナダ中央銀行金融政策決定 0.25%引き下げ予想 現在4.50%)
5日 ISM非製造業景況感 51.1 (51.4)
6日 雇用統計(CPIと並んで、最も重要な指標の一つ)
NFP 16.5万人 (11.4万人)
失業率 4.2% (4.3%)
<注>
1. JOLTS :求人労働移動調査、パウエル講演で注目された指標
2. ベージュブック :12地区連銀がまとめ地域経済状況報告
3. NFP :非農業部門雇用者数
そこで、今後1週間の相場見通しであるが、ドル円は、やや広めだが143.00-146.00円とを予想する。一方欧州通貨は、ユーロドルは1.0950-1.1200とややユーロ安を、また対円では先週と同じ159.50-162.50円と予想する。そして英ポンドドルは先週と同じ1.3100-1.3300と予想する。
(2024/9/4、 小池正一郎)
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