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第711回  米中関係の行方は株価次第!?

2020年05月25日

 目下のところ、相場の行方を左右している材料は「世界各国・地域における経済活動再開の度合い」と「新型コロナウイルスワクチンの開発ならびに治験の状況」、「米中対立先鋭化の可能性」に絞られると見られる。
 既知のとおり、米国では先週20日までに全50州で行動制限が一部解除され、ドイツやフランスなど欧州各国でも制限を緩める動きが広がっている。むろん、ウイルスの感染拡大「第2波」に対する警戒は解けないが、経済活動の再開で先行した中国で見られているような一定の景気回復に対する期待は基本的に根強い。結果、市場では先行きを楽観するムードがなおも温存されている。そこに、先週は足下で進む世界のワクチン開発について有望な情報が幾つか舞い込んだことから、さらに市場のムードは明るさを増している。
まず、先週の週初には米モデルナ社が臨床試験中のワクチンについて、小規模試験から得られたデータながら「免疫システムを体内で作り出す可能性がある有望な初期兆候を示した」と発表。その後、医療関連ニュースサイトのSTATが試験結果の信頼性に疑問を呈したことで一旦は市場のセンチメントも悪化したが、モデルナ社が後日追加のデータを開示するとしたうえ、週末には米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が「慎重ながら楽観視している」などと述べ、早期実用化への期待はつながれることとなった。
 また、英オックスフォード大学と製薬会社アストラゼネカが開発を進めるワクチンに関しては「すでに10億回分の生産体制を整えており、9月にも供給を始める」と伝わっており、市場のムードは一段と楽観に傾きやすくなっている。

 こうしたリスクオンのムードに水を差す格好となっているのが目下の米中関係。先週22日に中国で全国人民代表大会(全人代)が始まり、中国政府が香港の統制強化に向けて香港国家安全法の整備を進める方針を明らかにしたことで、これまで以上に米中間の対立が先鋭化する可能性は高まってきている。
 今後の米中関係を考えるうえでカギを握るのは、一つに米市場における株価の推移ということになろう。目下は経済活動の再開に伴う景気回復期待からNYダウ平均やS&P500種などの主要指数が戻り高値を試す強めの展開となっているため、トランプ大統領も対中強硬姿勢を示すことができている。しかし、両国関係が一段と悪化し、それを株価が嫌気して弱気の展開に転じることとなれば、過去の事例でも明らかなようにトランプ氏はある程度の歩み寄り姿勢を示すこととなろう。やはり、トランプ氏にしてみれば11月の米大統領選までは「株高」と「ドル高」を維持したいとの思いが強いはずである。
 一方、中国の習近平指導部としても、現時点で米中関係を後戻りできない状況にまで追い込むことが得策になるとは考えにくい。むしろ、本気で米国を敵に回すと不都合な部分の方が大きいことは重々承知ながら、今は国民の手前、ファイティングポーズをとらざるを得ない状況にあると考えるのが適当であろう。

 もちろん、当面は米中高官が舌戦を繰り広げるたびに、それを嫌気したマイナスの反応が市場で見られることもあろう。とはいえ、今しばらくはコロナ禍に対する各国の対応の方がより重要であり、その意味からするとユーロや円に対するドルの優勢はなおも続くということになりそうである。
 欧州中央銀行(ECB)は、3月に導入した7500億ユーロの資産購入について、次回6月4日の理事会で規模拡大に踏み切る可能性があると見られている。よって、ユーロ/ドルはなおも1.1000ドルの節目をクリアに上抜くことが難しいと見られ、先週もそうであったように今週も戻り売りが基本になると考えられる。
 一方、ドル/円は今しばらく方向感に乏しい展開を続けると見られ、今週も107.40円処を軸とした106.80-108.00円あたりのもみ合いレンジ内での値動きに終始することになると見られる。
(05月25日 08:40)

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プロフィール

  • 著者近影 田嶋 智太郎(たじまともたろう)
    昭和63年、慶応義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJ証券)勤務を経て、経済ジャーナリストに転身。これまでにNHK「くらしの経済」、テレビ朝日「やじうまプラス」などのコメンテータを務め、年間で全国およそ200ヶ所の講演を続ける。現在は日経CNBC「一発回答!銘柄ナビ」レギュラー。「株に成功する技術と失敗する心理」(KKベストセラーズ)など著書も多数。


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