前週末の「米雇用統計」に向けた前哨戦の数々を、マーケットは“悪いところ取り”として反応しました。
まず「ISM製造業景況指数」は“強弱混在”といった内容でしたが、“予想に届かず”が意識されました。
「JOLTS求人件数」は“2021年1月以来最低(767.3万件)”を記録しましたが、元々悪化が想定されている“7月分”でした。
そして「ADP雇用統計」は“20年12月以降最小(+9.9万人)”となったものの、「新規失業保険申請件数」は“2週連続減少(22.7万件)”と改善していました。
「ISM非製造業景況指数」は構成項目の「雇用指数」が“低下(50.2)”していたものの、総合は“前月より改善(51.5)”と、いずれも“強弱混在”といった内容でした。
それでも“イメージは下方向”は継続し、ドル円を段階的に押し下げていきました。
そして発表された「米雇用統計」も“マチマチ(強弱混在)”
でした。
「非農業部門雇用者数」は“予想に届かず(+14.2万人)”、前月・前々月も“下方修正(△2.5万人/△6.1万人)”が加わりました。
一方で「失業率」は“改善(4.2%)”しており、「平均時給」も“伸び拡大(+0.4%/+3.8%)”が示されました。
こうして方向感が定まることはなく、発表直後から“乱高下(143円台→144.020円→141.990円→143円台)”となったわけですが、ダメを押したのはウォラーFRB理事の以下の発言でした。
『利下げ開始の時期が来た』
『大幅/連続利下げの可能性はオープン』
この発言を機に再び“ドル売り”が優勢となり、一時“141.753円”へと再び押し下げられるなど、“上値の重さ”を引きずったままで先週の取引を終えています。
今週の注目は「米消費者物価指数(CPI:11日)」となりますが、マーケットが注目する「米9月利下げ」への思惑は“再燃”というよりは“後退”というのが実状といえます。
これは短期金融市場を見ても“明らか(40%台後半→31%)”ですので、その点を踏まえれば“思惑先行”の感は否めません。
もちろん「年内利下げ幅」にスパンを広げれば“拡大(計1.25%の確率40%)”していますので、一概にいうことはできませんが、それでも「米9月利下げ幅」が目先のテーマである以上…?
「株価急落」を背景にした“リスク回避→円買い”を囃す声もありますが、これは“ドル買い”にも波及する材料でもあり、さらに“ポジション調整(巻き戻し)”はある程度が進行した後でもあります。
さらなる動きにつながるかは微妙といわざるを得ない…?
前記した“先週末安値(141.753円)”は、ネックラインとしての意味合いを持つ“8/5安値(141.688円)”の手前で下げ止まった格好でもあります。
明確に下回ると“さらなる下値追い”につながらないとも限らない反面、そうでなければ“底打ち”と捉えられかねない分水嶺…。
思惑が定まっていない以上、まだ“神経質な揺れ動き”は想定せざるを得ませんが、“下値は限定的”を想定しながら、次なる材料の出現を待ちたいところです。
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